禅は言葉を否定するのか、それとも肯定するのか?時代や地域を乗り越えて、禅は人々の考え方に影響を及ぼしてきた。「越境」する禅をめぐって、多様な観点から出発し、共同研究の力で学際的に問う。
〈目次〉
総 論[何 燕生]
第一部禅研究の学説史を読み直す
中国学としての禅研究――京都大学の中国禅宗史研究をめぐって[何 燕生]
玉城康四郎の道元研究[末木文美士]
存在論としての証上の修――道元と井上克人を結ぶ関心[水野友晴]
第二部哲学・中国思想と禅
道教の「相」の思想――「七十二相、八十一好」を手がかりに[山田 俊]
道元の「身心脱落」から見た「一」[劉 梁剣](金子奈央訳)
『正法眼蔵』仏経巻に関する覚書――中国書物史の視点から[古勝隆一]
馮友蘭哲学と禅[齋藤智寛]
生死輪廻を考える――殺すことと産むこと[氣多雅子]
第三部 中国禅のテキストと言葉
言説否定の主張と経典の利用――『二入四行論長巻子』の場合[石井公成]
『壇経』の言語観[沈 庭]
唐代禅における「即心是仏」提示の差異――馬祖の系譜における空観[小川太龍]
『景徳伝燈録』における『法華経』の系譜――慧思・智顗と徳韶・延寿[柳 幹康]
宋代「文字禅」の思想史的分析[キョウ 雋](土屋太祐訳)
禅知識ベースにおけるテキスト再利用――予備的な一考[ウィッテルン・クリスティアン]
第四部 日本禅の言葉と思想
道元における言語の位置づけについて[長野邦彦]
円爾における言葉の超越の意義――『聖一国師語録』の検討から[和田有希子]
虎関師錬の禅思想における言葉[佐久間祐惟]
テクストとして「語られぬもの」/「語られるもの」――『大鑑清規』の「日本様」と祠山張大帝[金子奈央]
『宗鏡録』と世阿弥の能楽論の思想的関係――「心」と認識の在りかたへの注目[重田みち]
一休とその弟子たち――「不伝の伝」をめぐって[飯島孝良]
あとがき――編集後記に代えて[古勝隆一]