私たちは朱子学を誤解してきたのではないか。「封建的」「抑圧的」「男尊女卑」と語られてきた朱子学。史料を丹念に読み直し、教育や儀礼の解放、権力への批判など、これまで見過ごされてきた朱子学の新たな姿を描き出す。
「書名を「再考」としたのは、もちろん朱子学を考え直すという意味で、それというのも朱子学については今なおさまざまな誤解や偏見があり、それらを少しでも解きほぐしたいと思うのである。権威主義、封建思想、観念論、男尊女卑──朱子学に対して投げかけられるこのような単純な批判は朱子学研究者の間ではさすがに少なくなったが、他分野の研究者は必ずしもそうではないようだし、一般の人々にとって朱子学は否定的イメージで見られることが多い。それは中国でも日本でもそうである。なぜそうなったか、その理由は今は問わないとしても、これらのさまざまな誤解・偏見につき検討を加え、朱子学をより正しく評価することを本書の目的の一つとしたいのである」(「はじめに」より)。
【目次】
はじめに――従来の誤解と朱子学の「新しさ」について
朱子学再考1――「分」の思想をめぐって
朱子学再考2――「三綱五常」をめぐって
朱子学再考3――君主論をめぐって
朱子学再考4――婚姻と女性観をめぐって
朱子学再考5――理は気を生むか
朱熹の釈奠儀礼改革について
周惇頤の名について――敦頤か惇頤か
周惇頤の墓――その歴史と現況
宋代の思想
後 記