朱子学は東アジアでどのように学ばれ、それぞれの地域に根づいていったのか。中国・朝鮮・ベトナム・日本の書院や教育、文化の交流をたどり、「勉強」「冠婚葬祭」など身近な言葉にも目を向け、その受容と展開を読み解く。
「この続篇では、朱子学を東アジアから考えるという文化交渉学的視点による論考を収め、さらに日本の朱子学にかかわる文章を新たに書き下ろした。朱子学は南宋の朱熹(一一三〇~一二〇〇)の学問思想だが、その影響は大きく、中国のみならず東アジア全体に及んでいる。そうした日本を含む「東アジア」という視角から見た場合どうなのかをふまえつつ書いたものを主に収載したのである。……儒教や朱子学がそうであるように、中国の文化は実は中国だけにとどまっていない。中国文化とは何であったか、それを見定めるためにも、中国一辺倒を超えた東アジアの文化交渉的視点が必要と思われるのである」(「はじめに」より)。
【目次】
はじめに
Ⅰ 朱子学と東アジア
東アジアの儒教と文化交渉――覚え書き
東アジアの書院について――研究の視角と展望
東アジアにおける書院と私塾――中国・韓国・ベトナム・日本
江戸初期における学塾の発展と中国・朝鮮――藤原惺窩、姜沆、松永尺五、堀杏庵、林羅山、林鵞峰らをめぐって
「白鹿洞書院掲示」と日本の学規――近世から近代へ
陰陽五行――その基本理論と宋代までの展開
Ⅱ 書 評
溝口雄三著『方法としての中国』――中国近代史像を捉え直す 今後の中国学に多くの材料を提供
溝口雄三・中嶋嶺雄編著『儒教ルネッサンスを考える』――文化伝統の「再発見」をめざす 儒教文化圏諸国の政治的・社会的多様性をあきらかに
甘懐真、常建華両氏の近作に寄せて――甘懐真著『唐代家廟礼制研究』・常建華著『宗族志』
蜂屋邦夫著『金元時代の道教──七真研究』
市来津由彦著『朱熹門人集団形成の研究』
辛賢著『漢易術数論研究──馬王堆から『太玄』まで』――術数理論と中国のパラダイム
劉岳兵教授の近代日本儒教研究──『中日近現代思想与儒学』および『日本近代儒学研究』、『明治儒学与近代日本』に寄せて
堀池信夫編『知のユーラシア』
松下道信著『宋金元道教内丹思想研究』
土田健次郎著『朱熹の思想体系』
Ⅲ 朱子学と日本
朱子学と日本語――洒落、一辺倒、稽古、勉強
「冠婚葬祭」の語源と朱子学
日本朱子学者たちのすぐれた理解
後 記