記憶の中の風景が、いま再び色づく。
時代を越えて、あの日と同じ光が差している。
いまや日本を代表するイラストレーターの一人となった永井博。
その名を不動のものとした「A LONG VACATION」(大滝詠一)のジャケットワークをはじめ、彼が描いてきた数々のビジュアルは、鮮やかな色彩と澄みきった空気感によって、ひと目で季節や解放感を想起させる力を持っています。
その独自のスタイルは、1970年代初頭に体験した40日間におよぶアメリカ旅行、そして故郷の駅前に立ち並ぶヤシの木の風景といった原体験をもとに、シュルレアリスムとポップアートが交差するかのように形成されています。
本作品集『Now and Then』は、これまであまり知られることのなかった雑誌向け挿画や、新たに発掘された未見の作品群を一堂に収録した一冊です。
時代の空気を閉じ込めたような初期作品から、円熟味を増した近年の表現に至るまで、“あの夏の記憶”がどのように変化し、また在り続けてきたのかを辿ることができる内容です。
ページをめくるたびに現れるのは、どこか懐かしく、それでいて現実には存在しない理想の風景。国内外、世代を問わず人びとの記憶に刻まれてきた永井博の描く世界は、本書において“過去(Then)”と“現在(Now)”を往還しながら、あらためて鮮やかに立ち上がります。
ブックデザインは、永井博作品の多くを手がけるヨックスが今回も担当。
ミニマルで洗練された造本が、永井作品の持つ透明感と余白の美しさを際立たせ、作品世界への没入感を一層深めます。
▼本書の仕様
AB判変型・上製・44ページの単行本です。
(c)永井博 2026