現代のビジネス現場では、「スピード」「ハイパフォーマンス」、そして「即戦力」が強く求められている。AI化の波やトレンドの移り変わりなど、情報量が人間の脳の限界を超えるような時代なので、目の前の成果に目がいく。
しかし、中小企業の経営とは、派手さの裏に泥臭い努力と人間臭さが積み重なった世界である。経営者と社員の精神的距離が近く、会社と家庭の距離も近い。そこに「即戦力」は違和感がある。
実際に、著者独自の社員育てによって、著者が経営する企業は、離職率2%以下であり、「10年社員」が現場や実務を切り盛りする。そして、安定的な収益を上げている。その「10年社員」の何がよいのか、設計、製造、売上、サービス、顧客満足……経営の最前線をけん引しているのはすべて彼らである。
即戦力が求められる現代経営の流行の中にあって、本書は「経営とは何か」「社員の幸福とは何か」「つぶれない会社とは何か」という本質を著者の実践を通じて明らかにした。
「10年ものの人材が醸し出す深み。それこそが、これからの会社を守り、未来をつくる最大の武器になる」と著者は説く。VUCAの時代、迷いの多い経営者必読の書である。