『英和対訳袖珍辞書』(A Pocket Dictionary of the English and Japanese Language)は、1862年に、堀達之助(18231894)と、協力者である西周助・千村五郎・竹原勇四郎・箕作貞一郎(麟祥)らによって、幕府洋書調所から刊行された近代日本初の本格的な英和辞書である。明治新政府が建立される前の黎明期に再び改訂増補され、近代日本新国家形成期に第3版と第4版が活字で印刷・出版された。それ以降も改版を重ね、当時の英学者に重宝され、明治20年までほかの辞書に影響を与えていった。今日に至っても、この辞書は多くの研究者に注目されている。本書ではこれらの各版に対して、それぞれ精査を行い、辞書の見出し語の増減を網羅的にデータ化し、収集し得たこのオリジナルデータに基づいて、特に2007年に奇跡的に発見された原稿資料の解読を付け加えながら、辞書の成立や改訂、増補などを実証的に考察した。