本書は、公正価値による資産・負債の評価の実態を明らかにするため、現代会計の全ての財務諸表項目について一般に認められた実務を分析したものである。国際財務報告基準は、全面的な公正価値評価を指向しているが、実務においては、市場相場が存在しない場合に限り適用される将来の予測キャッシュフローの割引計算に基づく現在価値(discounted present value)の評価技法の普及に伴い、取得原価(historical cost)、再調達原価である取替原価(replacement cost)としての現在原価(current cost)、売却時価の正味実現可能価額(net realizable value)としての正味決済価額(net settlement value)および市場価格(market price)との併用による混在状態にあり、全面的な公正価値評価と公正価値会計(fair value accounting)への過渡期にある。
本書は4編19章で構成されている。第1編では会計システムと公正価値について、第2編では13章において個別問題について詳細に検討する。第3編では本支店会計および組織再編の会計を取り上げ、第4編では外貨換算および金融デリバティブの会計を論じた。