ランの花を装い、風に揺れながら獲物を狙うカマキリ、
アリの幼虫の匂いをまとって巣に紛れ込み、餌をもらうアブラムシ。
戦略的に尾の先だけを黒く残した、真っ白な冬毛のオコジョ。
メスのふりをしてメスの集団に近づき、強いオスに気づかれないまま、
ちゃっかり交尾をするハネカクシ、ブルーギル(魚)、オオコウイカの❝弱小オス❞たち――
生きものはいかにして、周囲に溶け込み、他者になりすますのか。
植物への擬態でよく知られるのは昆虫だが、それだけにはとどまらない。
魚も、鳥も、爬虫類も、哺乳類も、そして人間も、日々、生き残りを賭けた❝嘘❞をついているのだ。
本書では、姿かたちの模倣だけでなく、音や匂いや行動までも駆使した、
多種多様な欺きの術(すべ)を、オールカラーの“現場写真”190点とともに紹介する。
うまく嘘をついた者だけが生き残る。動物と植物が見せる「フェイク」の技の数々に、
大胆かつ巧妙な駆け引きに彩られた、地球の生命の豊かな進化史が浮かび上がる。