いのちの響き 教育の追想
  • 発売日:2025/08/28
  • 出版社:一藝社
  • ISBN:9784863592971

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いのちの響き 教育の追想

いのちの響き 教育の追想

通常価格 2,640 円(税込)
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    商品説明
    東京大学名誉教授が綴る、学力をつちかう100のコラム。 (はじめに、より抜粋)                               さて、現実の教育に目を向けると、保護者にとって大きな問題は、やはり、子どもの「学力の形成」だと思います。まず確認しておくと、私たちの心身のどこを探しても、「学力」というものを見つけることはできません。「学力」は、人が何かを達成したり探究したりするときに、その人のなかにあると見なされるものです。たとえば、子どもが試験問題を解いたり、探究課題について調べたり考えたりするときに、その子どもにあると見なされるものです(これは「構成概念」「事後的形象」とも呼ばれます)。厳密にいえば、「学力」は、内部に形成される〈もの〉ではなく、実際に活動できる〈こと〉ですが、わかりにくいので、「形成」という表現を使います。この「学力」を形成する具体的な方法は、一般的によく語られていますが、そうした方法よりも大切なことがあります。それは、「学力」を形成するために踏まえておくべき考え方、いわば前提条件です。
     「学力」の形成は、どんなにうまい方法で行っても、それなりの忍耐力(持続力)を必要としています。いいかえれば、学ぶ人の「意欲」を必要としています。人の意欲は、目的があるとき、どんどん湧いてきます。厄介なことは、人の抱く目的が、およそ情報メディアが作りだす欲望に塗れてしまっていることです。欲望に塗れた目的は、およそ自分の目的ではありません。欲望は、所詮、他人の欲望です。自分の目的は、自分自身の心が希求するところです。それは固有で特異なものです。だれにでも固有で特異な心があるように、だれにでも固有で特異な目的があります。したがって、「学力」を形成するための前提条件の一つは、自分のなかの固有で特異な傾き(心の傾向性・志向性)に気づくことです。子どもがいつ・どこで・どのようにそれに気づくのか、それは、子ども一人ひとり異なります。親にできることは、焦らず見守り、後で述べる経験の機会を増やすことです。ついでにいえば、子どものもつ独自の傾きは、親であっても予測できるものではない、と考えたほうがいいです。デカルトが『情念論』で述べているように、子は、およそ親を越えて育つものです。
    目次
    はじめに――いのちとハルモニア 2

     二〇〇六~八年

      No. 001 二つの世界 16

      No. 002 心の時間 18

      No. 003 無数の感動 20

      No. 004 競争と競いあい 22

      No. 005 経験そのものがユニーク 24

      No. 006 軋む心のなかに 26

      No. 007 声として聴く 28



     二〇〇九年

      No. 008 隔たりが消えるとき 30

      No. 009 ミメーシスと想像力 32

      No. 010 非言語的コミュニケーション 34

      No. 011 応答する力 36

      No. 012 見える光も見えない 38

     

      No.013 共存在 40



     二〇一〇・一一年

      No. 014 ちゃんとした壁 42

      No. 015 神と狼 44

      No. 016 結びつなぐ心 46

      No. 017 計算できないもの 48

      No. 018 思考と感謝 50

      No. 019 薔薇は咲き、人は生きる 52

      No. 020 自分とは何か 54



     二〇一二年

      No. 021 全体と要素 56

      No. 022 〈こと〉と場 58

      No. 023 想像の存在  60

      No. 024 二つの考え方 62

      No. 025 知性と畏敬 64No. 026 興味・関心 66

      No. 027 贈りものへの感謝 68

      No. 028 はたから見ない 70



     二〇一三年

      No. 029 気づきに気づく 72

      No. 030 心に在る記憶 74

      No. 031 真にまねること 76

      No. 032 問いと学び 78

      No. 033 生きると存在する 

      No. 034 じっと見つめるとき 82

      No. 035 秋の気配 84

      No. 036 外に向かい、内なる力を呼び覚ます 86

      No. 037 一命への畏敬 88



     二〇一四年

      No. 038 すこやかな生 90

      No. 039 眼を見て話す 92

      No. 040 有用でも無用でもなく 94

      No. 041 無力 96



     二〇一五年

      No. 042 理性 98

      No. 043 沈黙 100

      No. 044 風立ちぬ  102

      No. 045 気遣いとともに 104

      No. 046 学ぶと生きる 106

      No. 047 意味と経験 108

      No. 048 師弟という関係 110

      No. 049 皮肉ではないアイロニー 112



     二〇一六年

      No. 050 心の余裕 114

      No. 051 継続するという才能 116

      No. 052 想いの連鎖 118

      No. 053 親の背中、神の背中 120

      No. 054 良心としての〈あなた〉 122

      No. 55 フィロソフィア 124No. 056 想いと自我 126

      No. 057 問題と問い 128

      No. 058 無垢の力 130

      No. 059 いのちの力 132

      No. 060 弱さの力という贈りもの 134



     二〇一七年

      No. 061 ユニークさ 136

      No. 062 驚くこと 138

      No. 063 畏敬の念 140

      No. 064 よりよく 142

      No. 065 外への開かれ 144

      No. 066 動物の魂 146

      No. 067 アフェクトゥス 148

      No. 068 二つの呼び声 150

      No. 069 コミュニケーション? 152

      No. 070 人間の自然 154



     二〇一八年

      No. 071 自分のうつわ 156

      No. 072 知るとできる 158

      No. 073 経験を豊かにするもの 160

      No. 074 表現と類似 162

      No. 075 内なる自己 164

      No. 076 文脈を創りだす 166

      No. 077 真実を映す鏡 168



    二〇一九年
      No. 078 感動の本態 170

      No. 079 自分の理念 172

      No. 080 忘れられた静寂 174

      No. 081 他なるもの 176

      No. 082 心の時間と物の時間 178

      No. 083 贈られ‐与るの関係 180

      No. 084 空気の一〇〇〇倍 182

      No. 085 見守るという〈つよさ〉 184

      No. 086 自分に対し真実である 186

      No. 087 集中し専心する 188

      No. 088 失うこと 190

      No. 089 一人でいると独り在る 192



     二〇二〇年

      No. 090 音楽のつなぐ力 194

      No. 091 歌声と旋律 196

      No. 092 イマージュと情感 198

      No. 093 心のイマージュ 200

      No. 094 囚われからの自由 202

      No. 095 つつまれる 204

      No. 096 自然の鏡 206

      No. 097 透明な瞳 208

      No. 098 いのちのモラル 210



     二〇二一・二二年

      No. 099 欺きと誤り 212

      No. 100 想像と知性 214


     
     おわりに――他なるものの声を聴く 216

     あとがき 224

     著者紹介 226
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