憲法という言葉を聞いて、日々の保育を思い浮かべる人は少ないかもしれません。憲法は国を動かすための難しいもので、自分たちの日常とは遠いものだと思われがちです。
しかし、実は保育の現場こそが、憲法の理念が最も鮮やかに息づいている場所なのです。本書『明日の保育を、もっと人に優しく―憲法がわかれば、保育が変わる―』では、なぜ人に優しい保育のために「憲法」という視点が必要なのか、そして、明日からの保育実践を支える具体的なヒントはどのようなものかを、現場の目線からわかりやすく解説していきます。
保育は「人権」を守る最前線
憲法が定める「基本的人権」は、年齢に関係なく、生まれたその瞬間から、すべての赤ちゃんに備わっています。
○泣いている赤ちゃんのおむつを取り替える。
○空腹を満たし、その存在を丸ごと受け止める。
こうした日常の何気ない保育の関わりそのものが、実は憲法第11条や13条(個人の尊厳)を具現化する「人権擁護」の実践にほかなりません。保育者は単なる「お世話係」ではありません。世界で一番ちいさな「国民」の権利を守る、国家レベルで重要な役割を担うプロフェッショナルです。憲法の視点から考えてみることは、自らの仕事の尊さを再確認し、迷ったときの「心のコンパス」を持つことにつながります。
明日からの保育がもっと深まる4つの視点
Ⅰ 子どもと一緒に「人権」のはじめの一歩
目の前の子どもを一人の「主人公」として尊重する、保育の原点を見つめます。子どもの「やりたい!」「いやだ!」という心の声を尊重することは、憲法が保障する自由や平等の実践そのものであることがわかります。
Ⅱ 園と社会をつなぐ「安心」のルール
なぜ「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」を守らなければならないのか。それは、指針が憲法を頂点とする「法律のバトン」の終着駅だからです。保育が憲法第25条や26条に基づき、社会全体で子どもを支える公的な役割を持っていることを確認します。
Ⅲ 明日からの保育がもっと「優しく」なる視点
砂場での貸し借りや、遊びの中での葛藤。こうした日常の関わりが、実は憲法が目指す「平和で民主的な社会の形成者」を育てる第一歩であることを説明します。憲法の視点を持つことで、子どものつぶやきや行動がより愛おしく、深い意味を持って見えてくるはずです。
Ⅳ みんなが「幸せ」に過ごせる園であるために
子どもの幸せを守るためには、保育者自身の権利(働く環境)が守られていることが大前提です。保育者が笑顔で生き生きと働くことが、巡り巡って子どもの生存権や幸福追求権を保障するという「権利の循環」について考えていきます。
この本を読み終える頃には、あなたが日々行っている保育の一つひとつが、いかに価値があり、憲法の理想とつながっているかに驚き、納得していただけることと思います。