佐藤理江はノーマルな歌人である。
普通の教育を受け、普通のおとなになったのだろう。
そんな歌人の短歌が抵抗の色を帯びて見えるとしたら、それは世界が、状況が普通ではないのである。きわめて真っ当な感覚の歌人の真っ当な短歌が、今、ボディブロウとして効いてくる。
藤原龍一郎
【自選5首】
ショット缶最初ギリッとふたを開けあとはその都度くるくる回す
真ん中で真っ赤に放射しつづけたむかしの祖国、っぽいサイレンだ
映像のコマが飛ぶたび天皇はとても鋭い手刀をきる
スリッパが片方落ちた玄関のままのお出かけ嬉しいね、さっちゃん
押し花の色をきれいと思えないけどありがとう大事にするね