ひとしきりノルウェーの樹の香りあれベッドに足を垂れて ぼくたち
『加藤治郎アンソロジー』シリーズの第一弾! 未来への3歌集『サニー・サイド・アップ』『マイ・ロマンサー』『ハレアカラ』が1冊に。
『サニー・サイド・アップ』の出版は一九八七年。(中略)短歌という伝統詩が生まれ変わってゆく、その最初の動きを感じさせる象徴的な一冊だった(穂村弘 解説より)。
加藤治郎の第一歌集『サニー・サイド・アップ』、第二歌集『マイ・ロマンサー』、第三歌集『ハレアカラ』に加え、岡井隆、春日井建、井辻朱美、荻原裕幸の書評を再録。解説は、穂村弘が書き下ろし。山本浩貴(いぬのせなか座)は、制作ノートを綴る。
【自選5首】
ほそき腕闇に沈んでゆっくりと「月光」の譜面を引きあげてくる
荷車に春のたまねぎ弾みつつ アメリカを見たいって感じの目だね
たぶんゆめのレプリカだから水滴のいっぱいついた刺草(いらくさ)を抱く
にぎやかに釜飯の鶏ゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった
外苑の雪に埋(う)もれた猫の目のうすあおければまた歩きだす