詩集 解体の時

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詩集 解体の時

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生家に行き着いたときにはもう遅かった
夏はとっくに過ぎ去っていた
近所との境を立ち塞いでいたブロック塀さえない
我々の土地は更地となり
誰の地でもない顔をしていた
春が来るたびに雑草の新芽がいっせいに芽吹くので
父が、日なが草むしりしていた庭もなく
物騒になっていく世の中から独り身を隠すため
母が、新調したばかりの玄関の引き戸もなかった
(「解体」より)


ここ数年、また詩を書いている。ノートの端やiPadのドキュメント、スマホのメモに。レシートの裏や付箋の余白にまで。そんなことをしていたら、ちょうど実家を取り壊すことになった。家族の誰一人解体に立ち合えず、跡地さえ訪れることが叶わない地が詩の題材に加わった。
私にとっては三冊目の詩集だ。二冊目から二十年も経ってしまった。二冊目以降、同人誌や新聞に掲載されたにもかかわらず忘れていた詩もあった。もう忘れてしまわないようにという自戒も込めて、その中から四編を真ん中のパートに入れた。そのほかは日常の中でただ書かれ、どこかにバラバラに置かれていた詩たちだ。(あとがきより)
目次
時のうた

主人のいなくなった五月
もうなくなってしまったと
解体のあとに
解体
りんごが一つ
道案内

理由
この素晴らしき!

私の中のわたし
ピアニストの最期
熊本

記憶の保存法
そのとき
O君①
O君②
個人懇談
夏と怪物
真夏の錯覚
Emiさん
おじいさんの言い分
Polyphony

一本の木だったころ 

 あとがき
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