叫ぶおやすみとか氷るおやすみ
デビュー句集『膚』で田中裕明賞と俳人協会新人賞をW受賞した俊英・岩田奎。今年、Forbesが選ぶ「30 Under 30 Asia 2026」にも選ばれた著者による待望の第二句集!
挽肉のあらければ咲く辛夷かな
辛夷が咲くのは、この挽肉が粗いからだったのだ。ひとつの死である挽肉が、粒の粗さのために口の中で弾ける逆説的な生命感。辛夷が
咲くことはまさにそのような現象ではないか。私たちの世界の、思いもよらないきらきらしさと残酷さを、『敵』はこうして取り出してみ
せるのである。
──────服部真里子(歌人)
【収録句より】
蟻地獄蟻がはこびしものも落ち 「皆」
星祭われら虚業のビル灯す 「舌や腸」
春の雨いのちちぢめの飯を食ふ 「力」
鹿啼けり無数の黒い扉のやうに 「ライフ」
枯木コロシアムかならずだれか勝つ 「敵」
氷柱落ち砕けてそこにありつづけ 「水の熱」
残るあぢさゐこれからも見て暮す 「冗談」