はじめに――私の「声」と子どもの権利
序章 社会的養護から考える子どもの「声をきく」ということ
1 こども基本法制定とおとなの戸惑い
2 本書の目的――なぜ、社会的養護に着目するのか
3 本書の方法――なぜ、『子どもの権利ノート』なのか
4 本書の構成
5 用語の定義
第1章 子どもの権利とは何か
1 子どもの権利条約の特徴
2 子どもの権利条約における一般原則
(1)「きかれる権利」
(2)「子どもの最善の利益」のための「きかれる権利」
(3)最善の利益を形作る要素――子どもにとっての親、家族
(4)生まれ・育つことの基盤
(5)差別の禁止 差をつくらないということ
3 子どもの権利条約を批准した国・社会の義務
(1)子どもの権利基盤型アプローチ
(2)子どもの権利を広く知らせるということ
(3)子どもに関する国内法と様々な社会の仕組み
第2章 子どもの権利の視点から社会的養護を考える
1 子どもの権利条約において示される社会的養護で育つ子どもの権利
2 理解の補助線としての「代替養育に関するガイドライン」
(1)「必要性」の原則①――子どもが社会的養護で育つことになる背景
(2)「必要性」の原則②――家族を支援するという視座
(3)「適切性」の原則――子どもにとって「適切」な環境とは何か
(4)アフターケアの必要性――ケアを離れた後の困難
第3章 子どもに対する暴力問題の顕在化と『子どもの権利ノート』の誕生――1990年代・2000年代
1 1990年代
(1)家庭内虐待の顕在化――児童虐待防止法制定(2000年)に至るまで
(2)児童養護施設における施設内虐待の発覚
(3)「子どもの権利擁護」という理念の到来
(4)『子どもの権利ノート』の誕生――作成背景と全国への展開
(5)高校生の「声をきく」――全国養護施設高校生交流会
2 2000年代
(1)児童養護施設における子ども同士の暴力
(2)「安全委員会」方式の台頭
(3)施設内虐待への対応が制度化される――2009年被措置児童等虐待対応ガイドラインの制定
(4)社会的養護の当事者活動の誕生
◆コラム 暴力について「声」をあげることの難しさ
第4章 社会的養護の制度改革とこども基本法制定――2010年代・2020年代
1 2010年代
(1)「社会的養護」の定義が刷新される――「社会的養護の課題と将来像」と「児童養護施設運営指針」の策定
(2)施設内暴力をなくすために――被措置児童等虐待事例の分析に関する報告
(3)子どもの権利の理念を盛り込んだ児童福祉法の改正
(4)子どもの権利の理念を具体化する――「新しい社会的養育のビジョン」が示すロードマップ
(5)2つの虐待死事件と親権者等による体罰禁止の明文化
(6)厚生労働省が子ども間の性暴力の実態を調査
(7)新たな当事者活動と全国交流会の始動
2 2020年代
(1)ケアリーバーの「声をきく」――2021年厚生労働省全国ケアリーバー調査実施
(2)すべての子どもの権利が明文化される――こども家庭庁設立とこども基本法制定
(3)こども施策の基本的な方針「こども大綱」の明示
(4)子どもの「声をきく」仕組みの導入――意見聴取を盛り込んだ児童福祉法改正
(5)こども性暴力防止法の制定
(6)被措置児童虐待に関する近年の状況
第5章 子どもに権利を伝える――『子どもの権利ノート』におけるテキスト分析と子どもの受け止め
1 調査の目的と方法
2 『子どもの権利ノート』の作成と活用の状況
(1)全国の作成状況
(2)配布のされ方と活用場面
3 保護される存在としての子ども――第1世代の『権利ノート』の特徴
(1)『権利ノート』の記述形態と配布対象
(2)根拠に基づかず伝えられる子どもの権利
(3)権利と義務が併記されるという特徴
(4)子どもに提示する暴力の定義の狭さ
(5)権利を行使する方法の不十分さ
4 子どもは第1世代の『権利ノート』をどう受け止めたのか
(1)子どもへの質問紙調査の結果
(2)子どもにとっての『権利ノート』の意義と課題
5 多様でオリジナルな『権利ノート』へ――第2世代の『権利ノート』の特徴から
(1)改訂・改定の状況
(2)子どもの目線に立った工夫
(3)第2世代の『権利ノート』が提供する情報
(4)子どもの権利条約に基づき子どもの権利を伝える
(5)引き続き併記される権利と義務
(6)多様な権利侵害の提示
(7)アクセスしやすい相談・救済機関
6 第3世代の『権利ノート』
第6章 「子どもの権利」を実践するおとなは『子どもの権利ノート』をどう受け止めたのか
1 インタビュー調査に至るまで
(1)施設で育った若者の言葉から
(2)なぜ、大阪府なのか
2 インタビュー調査の目的と方法
(1)調査の目的
(2)調査の方法
3 『権利ノート』導入による施設現場の変化の全体像
4 『権利ノート』導入以前――受けとめる素地のなさ
(1)自己解決の体制と「自分の子ども」という使命感
(2)従わせる威圧的な指導
(3)集団指導
5 突然の価値転換による戸惑いと納得
6 『子どもの権利ノート』を受けとめていく過程
(1)変化を後押しした多様な背景
(2)地域ブロックを中心とした大阪府全体の取り組み
7 個別の子どもの声を重視した開かれた支援
1)他機関をまきこんでのチームワーク
(2)導くより後押しのスタンス
(3)子どもの声を聴き、対話をする方法
(4)一人ひとりの子どもをみる視点
8 指標となった『権利ノート』
9 「声」をきく実践と現実とのあいだ
(1)新たに生じてきた問題
(2)めざすべき養育と実態の乖離による苦悩
10 職員の「声」が問いかけるもの
終章 子どもの「声」をきく社会をつくる
1 子どもの「声」をきくとはどういうことか
(1)社会的養護で育つとはどのような経験か
(2)子どもが「声」を取り戻す過程を知る
(3)「声」をきくおとなに求められる視座
(4)「声」をきくことを支える理論的枠組み
2 「声」をきくおとなを支える社会とは
(1)ミニワーク・「声」をきくおとなに必要なもの
(2)複眼的なまなざしをもつ
(3)「声」をきき、社会を変える仕組みをつくる――こどもコミッショナー・子どもの人権オンブズパーソン
(4)社会的養護の当事者がつくる「社会的養護の子ども・若者の権利章典」
エピローグ 権利を奪われた体験としてコロナ下をふりかえる
1 個人的な怒りが社会の問題へとつながる――コロナ下における国連声明
2 コロナ下で子どもの「声」をきく――国連声明をワークブック型絵本に
3 気持ちと権利をつなげる絵本の誕生――『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』
4 子ども・若者の生きる風景
5 社会的養護を経験した若者たち――危機のしわ寄せを引き受ける
6 子どもとおとながともに語り合う場を
初出一覧/付記
あとがき
文献