世界の人口は今、変革期にある。人口爆発と言われていた時代は過去のものとなり、世界人口は今世紀中には減少に転じるという見通しが共通認識となった。少子高齢化、人口減少が確実に各国・地域に広がっており、変化する人口変動と国際情勢のなか、国際人口移動は活発化の一途にある。日本の人口動向は、世界の人口動向の先端にあるといってもよいが、関心が高まり多くの言説が広がる中、正しいデータと手法に基づく正確な把握と分析がこれまでにも増して必要とされるようになったと感じられる。
国立社会保障・人口問題研究所は、1939(昭和14)年に設立された人口問題研究所をその前身とし、80 年強にわたる期間、人口統計・分析に関わる研究と人口統計の普及・公開を続けてきた。本叢書は、広く一般の人口に関心のある読者を対象に、世界・人口の人口と社会に関し、その全体像(第Ⅰ部)、人口動態、つまり出生・死亡・移動という構成要素(第Ⅱ部)、世帯と家族(第Ⅲ部)、地域社会(第Ⅳ部)、労働・社会保障(第Ⅳ部)について、コンパクトに一冊にまとめたものである。同様の叢書は2017年にも刊行しているが、執筆時から10年以上が経過しており、変化しつつある人口・社会に合わせて、新たに取り纏めることとした。
執筆はすべて国立社会保障・人口問題研究所の執筆分野を専門とする研究者によるものであり、過去からの経緯と現在の状況、将来の見通しを概説するものとなっている。多くの人に読んでいただくために、冊子体のほか、pdfにて国立社会保障・人口問題研究所ホームページから自由にダウンロードができる出版形態とした。本書を機に、世界と日本の人口と社会に関する議論がさらに深まることを切に期待するところである。