世界には、まだ名前を知らない「感情」がある。
自分の心の内を伝えたいのに、ぴったりのことばが見つからない――。
そんなもどかしさを感じたことはありませんか?
喜びや悲しみ、怒り、恋しさ、寂しさ。人が抱く感情は世界共通でも、それを切り取る「ことば」には、その土地の歴史や文化、人々の暮らしや価値観が息づいています。
本書では、世界の約80の言語から、ほかの言語には簡単に訳すことのできない“感情ことば”を約320語厳選。その意味だけでなく、ことばが生まれた背景や、その国や民族ならではの文化とともに紹介します。
たとえば――
働くことで得られる幸福感を表す、デンマーク語の「アーバイツグルー」。
風の中を歩いて気分をすっきりさせる、オランダ語の「アウトヴァーイエン」。
長い間会っていなかった人と再会した喜びを表す、バスク語の「アスパルティコ」。
食後、満腹感と幸福感のなかで訪れる眠気を表す、イタリア語の「アビオッコ」。
「他者がいるからこそ、私が存在する」という思想を表す、バントゥー系諸語の「ウブントゥ」。
ロマンチックな出来事で感じる、ゾクゾクするような胸の高鳴りを表す、タガログ語の「キリグ」。
自分が心からなじめる場所を表す、ウェールズ語の「クネヴィン」。
「喜び」「怒り」「悲しみ」「楽しみ」「愛欲」、そして「日本」のことばまで。
世界各地で生まれた感情の名前を知れば、「こんな気持ちにも名前があったんだ!」という発見とともに、そのことばを育んだ文化や人々の心も見えてきます。
世界には7,000以上の言語が存在するといわれています。
それだけ、人類は自らの心に生まれる名づけがたい感情に、ことばを与え続けてきたのです。
あなたがずっと名前をつけられなかった気持ちも、
世界のどこかでは、すでに「ことば」になっているかもしれません。