現代の都市再生は、「完成したものを受け入れる能力」には長けている。だが、「まだ完成していないものを育てる能力」を失いつつある。都市が完成すればするほど、人間が自由に関わり、試し、変えていく余地は小さくなる。本当の都市再生とは、都市を完成させることではない。変化が起こり続ける条件を残すことである。
未完成な知が宿る余白を残せ。「未完成な知が滞留する都市」とは、成功するかどうかさえ分からない活動を、未来をつくるための都市機能として引き受ける都市である。そこから人間が始まる、そこから創造が始まる、そこから都市が再び動き出す。
この再定義こそが、「やさしい都市」へ向かう羅針盤となる。
表参道FROM-1st、東急ハンズ、AXIS、QFRONT、キャットストリート、Q-AX、青山AOなど、60年以上にわたり数多の都市開発に携わってきた浜野安宏。40年間、デベロッパーとともに都市の現場を歩んできた吹田良平。
本書は、都市を理論ではなく実践の現場から見続けてきた師弟二人による、管理され、飼い慣らされ、想像力を失いつつある都市への異議申し立てである。そして、次の都市を生きるすべての人への挑発である。
第1章 都市再生時代、終わりの始まり
第2章 書物から遠く離れて
第3章 都市論に関する二、三の事柄
第4章 浜野安宏の創造的地平論
第5章 都市再生代替案——未完成な知が宿る余白