村上文学、その核心と起源とは?文学批評の新たなる可能性。
❶村上春樹文学の起源に関する考察や議論はあまりなかった。伝統と切り離され、突如現れたポストモダン的なものと認識されているところもある。しかし、村上文学は第三の新人たちの文学に大きな影響を受けている。その全容を明らかにする。
❷ 村上春樹は『若い読者のための短編小説案内』のなかで、第三の新人らの文学について詳細な考察を行っている。村上春樹の第三の新人への強い興味を示すものである。また村上春樹によるそうした考察自体が図らずも村上自身の文学観や創作方法を語るものでもある。本著は、『若い読者のための短編小説案内』を通して村上春樹の創作方法と文学観を明らかにする。
❸ 第三の新人(吉行淳之介、小島信夫、安岡章太郎、庄野潤三、長谷川四郎、遠藤周作)への従来の評価は高くない。本著は上記の計六人の作家を村上春樹文学との比較を通して新たな再評価を試みる。
❹ 村上春樹文学の起源を第三の新人とそれを遡る戦前の自然主義に求める。こうした系譜から、春樹文学を「心的リアリズム(内的リアリズム)」による「私小説」の一種であると再解釈する。