調和ではなく戦い。共生ではなく奪い合い。生き物たちの本能が織りなす世界は決して綺麗事ではない。
けれど、だからこそ、この世界は紛れもなく渾然一体で、このうえなく美しい。——本文より
2021年、高齢者専門の弁当配達のアルバイトをしながら配達先の老人たちを10年にわたって撮影した『ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ』が話題を呼んだ福島あつしの最新作。2018年、知人の誘いで農業に従事することとなった福島は、自然の中で穏やかに働けることを期待していたが、実際の農作業の過酷さに驚く。特に真夏の炎天下での作業は過酷を極め、成長した作物の収穫は、それを食べに来る動物、虫、菌類、伸びる雑草、荒れる天候と戦いながら一刻を争う。自身も自然の内に生きる一種の生き物として心身を燃やしながら立ち向かう中で、その極限状態に求めていた理想郷を感じ、7年かけて撮影、本作品とした。
すべて真夏の屋外で撮影された本作は、天候、大地にみなぎる生命力、そして福島本人の突き抜けたテンションを反映するかのように、まぶしく、力強く、テンション高く走り抜けている。
寄稿・中澤有基