春の庭   本居春庭と言葉さがしの旅

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商品説明
緻密で実証的な探究心

 か・き・く・く・け・け……未然、連用、終止……、五段、下一段、カ行変格……。この、私たちを悩ませた動詞の活用型、活用形を体系化したのは、江戸時代末期の本居春庭です。
 本居宣長の長子に生まれ、幼いころから漢籍・古文の手ほどきを受けた春庭は、視力を失った後にも、妻や弟妹の手助けを得て古今の物語や文書を渉猟し、膨大なメモをつくり、緻密で実証的な『詞八衢(ことばのやちまた)』を完成させます。明治近代以降の文法研究にも踏襲され、現代の動詞活用研究の原型を作りました。
 見えないことの不遇を嘆かず、一心不乱に言葉さがしをつづけた春庭。本書は、春庭をそこまで駆り立てたものは何だったのか、宣長ともどもの「言葉」へのあくなき探究心をさぐっていきます。
 日本における漢字・漢文の受容、「源氏物語」原本の行方と定家の書写本、「耳なし芳一」の語りの世界とオノマトペ……考察は多岐にわたっています。
 表語、表意性に富む「漢字」とはいえ、音で読む視覚障害者には厚く高い壁です。何かと優先される〈見る文化〉に対する、重い一石も投じています。
目次
まえがき
第一章 本居春庭をたずねて
 一 出生から失明前後まで
 二 失明前後から宣長の死没まで
 三 『詞の八衢』を中心にして
 四 『詞の通路』を中心にして
 五 和歌を中心にして
 六 父宣長との関係
 七 弟妹たち・妻との関係
 八 小説に描かれた春庭像(一)
 九 小説に描かれた春庭像(二)
 十 松阪をたずねて
 第一章を終わるに当たって
   付記(一) 本居春庭に関するQ&A
   付記(二) 日本語の活用について
   付記(三) 本居春庭略年譜
第二章 本居宣長をたずねて
 一 宣長を知ったころ
 二 『古事記』の向こう側
 三 『源氏物語』の向こう側
 四 「和歌」の向こう側
 五 上田秋成との論争
 六 漢字・漢文と大和言葉と
 七 大和魂・大和心とその行方
 第二章を終わるに当たって 
第三章 言葉の面白さをたずねて
 一 言葉の起源
 二 『源氏物語』原本と定家の書写本
 三 弾き語り『平家物語』
 四 中島敦「文字禍」から
 五 「耳なし芳一」の世界
 六 「春の海」の世界
 七 言葉と数学的風景
 八 漢字のもつ二面性
 第三章を終わるに当たって
 あとがき
   参考文献
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