- 発売日:2026/08/18
- 出版社:大阪大学出版会
- ISBN:9784872598544
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戦後「中国系」亡命文学者と越境する想像力
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商品説明
陶晶孫、景嘉、胡蘭成、邱永漢の「亡命者としてのパフォーマンス」
戦後、日本および東アジアは「民主化」を掲げる外部介入とその反動、脱植民地化に伴う国民国家の再編、冷戦による敵対の制度化がほぼ同時に進行したことで、大きな政治的転換期を迎えた。本書が取り上げるのは、1945年以降の秩序転換の中で、旧日本帝国の支配圏・占領地から日本列島へ移動し、帰還の見通しを失ったまま長期滞在を余儀なくされた中国系亡命知識人である。中でも、戦後の日本、中国大陸、台湾、および香港の文壇と出版界に少なからぬ影響を及ぼした四人の文学者、陶晶孫(1897-1952)、景嘉(1914-1986)、胡蘭成(1906-1981)、邱永漢(1924-2012)を対象とする。
彼らは単に保護される「政治的難民」であっただけではなく、戦後日本社会が心の底で求めながら、自らは演じることができなくなった「理想の知識人」像(かつてのアジア主義的連帯の主体)を、その身体と言葉をもって「反復」する鏡像的な存在でもあった。本書では、漢文脈や近代の言語イデオロギーとの錯綜といった東アジア固有の歴史的背景において戦後日本から期待された役割を演じ、新たな文化的景観とアイデンティティを構築・表現した彼らの「亡命者としてのパフォーマンス」に注目。陶晶孫、景嘉、胡蘭成、邱永漢という四人の中国系亡命知識人が戦後日本という受容空間においてどのように位置づけられたのか、そして彼らが日本側の期待やイメージをいかに受け止め、利用し、ときに裏切りながら、自らの文学的・思想的表現を展開していったのか、その軌跡を追う。
戦後、日本および東アジアは「民主化」を掲げる外部介入とその反動、脱植民地化に伴う国民国家の再編、冷戦による敵対の制度化がほぼ同時に進行したことで、大きな政治的転換期を迎えた。本書が取り上げるのは、1945年以降の秩序転換の中で、旧日本帝国の支配圏・占領地から日本列島へ移動し、帰還の見通しを失ったまま長期滞在を余儀なくされた中国系亡命知識人である。中でも、戦後の日本、中国大陸、台湾、および香港の文壇と出版界に少なからぬ影響を及ぼした四人の文学者、陶晶孫(1897-1952)、景嘉(1914-1986)、胡蘭成(1906-1981)、邱永漢(1924-2012)を対象とする。
彼らは単に保護される「政治的難民」であっただけではなく、戦後日本社会が心の底で求めながら、自らは演じることができなくなった「理想の知識人」像(かつてのアジア主義的連帯の主体)を、その身体と言葉をもって「反復」する鏡像的な存在でもあった。本書では、漢文脈や近代の言語イデオロギーとの錯綜といった東アジア固有の歴史的背景において戦後日本から期待された役割を演じ、新たな文化的景観とアイデンティティを構築・表現した彼らの「亡命者としてのパフォーマンス」に注目。陶晶孫、景嘉、胡蘭成、邱永漢という四人の中国系亡命知識人が戦後日本という受容空間においてどのように位置づけられたのか、そして彼らが日本側の期待やイメージをいかに受け止め、利用し、ときに裏切りながら、自らの文学的・思想的表現を展開していったのか、その軌跡を追う。
目次
序章
第一節 本書の目的と狙い
第二節 対象作家と先行研究
第三節 本書の視角――亡命というプリズム
第四節 本書の構造
第一章 戦後日本における「中国系亡命者」像の形成 ――(汎)アジア主義の残響と「理想の知識人」をめぐる文化的地層
第一節 「理想の知識人」の投影と問題の所在
第二節 中国系亡命者の「逃亡」のパターンと在日中国人社会
第三節 「中国系亡命者」をめぐる政策的議論と善隣友誼会
第四節 「アジア」と名のつく雑誌にみる言論空間
第五節 「理想の知識人」という脚本
第六節 「理想の知識人」像を支える文化的地層として
第二章 戦後日本における陶晶孫の「亡命者としてのパフォーマンス」と「共通言語」の再創造
第一節 陶晶孫の作品における「亡命者としてのパフォーマンス」
第二節 「共通言語」の遺産と再創造
第三節 陶晶孫の経歴と日本への逃亡
第四節 「亡命者としてのパフォーマンス」と戦後批評
第五節 明治・大正日本へのノスタルジア――批評装置としての過去
第六節 帝国主義日本との葛藤
第七節 最後の小説にみる明治・大正時代と漢文による日中交流の可能性
第八節 「共通言語」の再創造と陶晶孫が遺した思想的問いかけ
第三章 「伝統的な読書人」としての景嘉と対等な日中関係へのまなざし
第一節 「伝統的な読書人」のパフォーマンス
第二節 景嘉の経歴と戦後日本への移動
第三節 贈友詩にみる「亡命」の表現
第四節 過去を反省する――武俠小説『酔鬼張三伝』
第五節 戦後日本で漢文脈を生きる
第六節 景嘉の創作と対等な日中関係の再構築による敵対関係の解放
第七節 「読書人」の主体化と文化介入
第四章 胡蘭成の越境する想像力――亡命者の表現戦略の形成と変遷について
第一節 胡蘭成の自己演出と本章の課題
第二節 胡蘭成の亡命以前の経歴
第三節 亡命の経緯と『山河歳月』の執筆
第四節 「礼楽」による歴史の書き換えと自己演出――『山河歳月』と『中国のこころ』における表現戦略
第五節 胡蘭成による漢詩の創作と「亡命者としてのパフォーマンス」
第六節 大衆小説家尾崎士郎との出逢い
第七節 「英雄」、「蕩子」、「漂泊孤客」の文人
第八節 台湾の文芸界への影響と日本への再亡命
第九節 「漂泊孤客」の自己成型と文化的意義
第五章 アジア諸地域の「あいだ」を生きる邱永漢――戦後日本文壇における大衆作家の執筆戦略
第一節 「あいだ」を生きることと越境的戦略
第二節 邱永漢の経歴
第三節 戦後日本における亡命者作家の軌跡
第四節 石原慎太郎が脚光を浴びる陰で――邱永漢の表現戦略の転換
第五節 『西遊記』改作と亡命者的表現戦略
第六節 「あいだ」に立ち続ける創造性
終章
第一節 亡命知識人と舞台装置
第二節 四つの「型」と亀裂
第三節 研究史上の介入
第四節 「関係」としての亡命実践――戦後日本から再考するサイノフォンと越境文化
参考文献
あとがき
人名索引
第一節 本書の目的と狙い
第二節 対象作家と先行研究
第三節 本書の視角――亡命というプリズム
第四節 本書の構造
第一章 戦後日本における「中国系亡命者」像の形成 ――(汎)アジア主義の残響と「理想の知識人」をめぐる文化的地層
第一節 「理想の知識人」の投影と問題の所在
第二節 中国系亡命者の「逃亡」のパターンと在日中国人社会
第三節 「中国系亡命者」をめぐる政策的議論と善隣友誼会
第四節 「アジア」と名のつく雑誌にみる言論空間
第五節 「理想の知識人」という脚本
第六節 「理想の知識人」像を支える文化的地層として
第二章 戦後日本における陶晶孫の「亡命者としてのパフォーマンス」と「共通言語」の再創造
第一節 陶晶孫の作品における「亡命者としてのパフォーマンス」
第二節 「共通言語」の遺産と再創造
第三節 陶晶孫の経歴と日本への逃亡
第四節 「亡命者としてのパフォーマンス」と戦後批評
第五節 明治・大正日本へのノスタルジア――批評装置としての過去
第六節 帝国主義日本との葛藤
第七節 最後の小説にみる明治・大正時代と漢文による日中交流の可能性
第八節 「共通言語」の再創造と陶晶孫が遺した思想的問いかけ
第三章 「伝統的な読書人」としての景嘉と対等な日中関係へのまなざし
第一節 「伝統的な読書人」のパフォーマンス
第二節 景嘉の経歴と戦後日本への移動
第三節 贈友詩にみる「亡命」の表現
第四節 過去を反省する――武俠小説『酔鬼張三伝』
第五節 戦後日本で漢文脈を生きる
第六節 景嘉の創作と対等な日中関係の再構築による敵対関係の解放
第七節 「読書人」の主体化と文化介入
第四章 胡蘭成の越境する想像力――亡命者の表現戦略の形成と変遷について
第一節 胡蘭成の自己演出と本章の課題
第二節 胡蘭成の亡命以前の経歴
第三節 亡命の経緯と『山河歳月』の執筆
第四節 「礼楽」による歴史の書き換えと自己演出――『山河歳月』と『中国のこころ』における表現戦略
第五節 胡蘭成による漢詩の創作と「亡命者としてのパフォーマンス」
第六節 大衆小説家尾崎士郎との出逢い
第七節 「英雄」、「蕩子」、「漂泊孤客」の文人
第八節 台湾の文芸界への影響と日本への再亡命
第九節 「漂泊孤客」の自己成型と文化的意義
第五章 アジア諸地域の「あいだ」を生きる邱永漢――戦後日本文壇における大衆作家の執筆戦略
第一節 「あいだ」を生きることと越境的戦略
第二節 邱永漢の経歴
第三節 戦後日本における亡命者作家の軌跡
第四節 石原慎太郎が脚光を浴びる陰で――邱永漢の表現戦略の転換
第五節 『西遊記』改作と亡命者的表現戦略
第六節 「あいだ」に立ち続ける創造性
終章
第一節 亡命知識人と舞台装置
第二節 四つの「型」と亀裂
第三節 研究史上の介入
第四節 「関係」としての亡命実践――戦後日本から再考するサイノフォンと越境文化
参考文献
あとがき
人名索引
戦後「中国系」亡命文学者と越境する想像力
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