「私を襲った元依頼者と、なぜ対話を試みたのか」
刑事弁護の第一線に立ち、障がいや依存症を抱える人々の支援に尽力してきた弁護士。ある日、彼は元依頼者の襲撃を受け、全治約1カ月の傷を負う。自身が「被害者」となったとき、眼前に現れたのは、加害者の言い分を封じ、ただ罰を与えることに終始する刑事司法の限界であった。
本書は、事件発生から公判、そして異例の拘置所での直接示談に至るまでのプロセスを、当事者である弁護士本人が克明に記録したものである。その過程を、修復的司法(RJ)の研究者が犯罪学の視点から鋭く分析した、これまでにない対談集である。
「罰して終わり」で、再犯は防げるのか?
被害者の不安は消えるのか?
本書が提示するのは、単なる理想論ではない。現実の紛争解決における「処方箋」としてのRJである。読者は本書を通じて、従来の応報的司法の枠組みを超えた、対話による「害の修復」と「関係の再構築」という新たな視座を獲得することになる。
さらにコラムでは、本文で触れきれなかったRJの基礎知識を補完。司法関係者や福祉従事者はもちろん、現代社会における「人と人の向き合い方」を模索するすべての人に贈る、渾身の一冊。