台湾から30万以上の日本人が引揚げた。それから80年近く経った今でも、当時を記憶し、「故郷」台湾を想う引揚者がいる。台湾引揚とは何か? 台湾側の視点、沖縄出身者の境遇も踏まえ、その経験に迫る。
目次
編者序文
台湾引揚研究を俯瞰する 林 初梅
各地からの引揚者と台湾引揚者 所澤 潤
│第1章│ 引揚の前夜― 日台史料からみた台湾引揚者の戦後処遇 林 初梅
│第2章│ 八重山と蘇澳・南方澳― 石垣市『市民の戦時戦後体験記録』をひもとく 松田 良孝
│第3章│ 引揚を見送った台湾の人たち 所澤 潤
│第4章│ 台湾における日本人引揚者雑誌『新聲』について 黄 英哲
│第5章│ 『全国引揚者新聞』に見る台湾引揚者の戦後初期― 戦前の経験をどう生かすか 顔 杏如
│第6章│ 女性引揚者を可視化する― 沖縄の台湾引揚者を中心に 野入 直美
│第7章│ 台北帝国大学教授・楠井隆三の引揚と戦後 黄 紹恒
│第8章│ 湾生・女性・スポーツ― 溝口百合子と一九五四年マニラアジア大会 菅野 敦志
│第9章│ 植民地・引揚の記憶をめぐる日台の相互性― 花蓮港中学校同窓生の事例から 石井 清輝
湾生が語る引揚体験― インタビュー記録