本書は、日本の古代において、朝鮮半島からの渡来人の活動と彼らが畿内で根拠とした寺院がどのようなものであったかを調査した結果をまとめたものである。
「はしがき・著者 金正柱」より抜粋
本書は題名が示すように、畿内五ヶ国つまり摂津・河内・和泉・大和・山城における帰化人に縁故のある遺物・遺跡を集録して、簡略ではあるがその史的解説を試みた一般書である。今日でいえば、大阪市の全部に淀川以北と神戸市東部・大阪府の東部・大阪府の西南部・奈良県全部・京都市と京都府南部の諸地域がこれに包含されている。これらの地域を実際に踏査してみて、帰化人の縁故遺蹟が予想外に多かったことに驚いた。そしてそれら遺蹟の多くが、殆んど荒廃のまま放置されていることにさらに驚いた。
「本書の復刊を祝う・金(三井)慶昭」より抜粋
本書が出版されたのは1964 年のことで、今からちょうど60年前である。韓国と日本の国交が回復された1965 年の1年前のことである。当時、日本では韓国のイメージはよくなく、いわゆる「韓国・朝鮮モノ」を出してくれるような出版社は少なかった。金正柱先生は自ら主宰している「韓国資料研究所」から、自腹を切って出版したのである。学者の身で出費は大変だったと思う。
先生は、学者としての研究と民族運動、そして新韓学術会で若い学徒や韓国からの留学生を育てるという二足、三足のわらじを履きながら、本書を執筆したのである。誠に神業という他ない。この偉業は、愛国心と日韓友好の一助でもなればと思っての英断であったように思う。