17歳で三保谷村農協に就職したその年末に、小久保は正月用に売りに来た寄せ植の盆栽を買った。
『人生が始まった年の記念だ』小久保は盆栽の小さな松の木を庭先に移して植えた。
松は健康と長寿の象徴、神が降臨する依代ともいわれる。(中略)冬でも葉の色が変わらない松には『心変りしない』という意味合いもある。
小久保の60年におよぶ農協運動の足跡を振り返ってみると、まさに松の木のようである。
『どんなことがあっても心を変えず、農家、農協のために働く』という小久保の人生そのもののように思える。
農業という地面に根を張った、農協ひとすじの人生である。
本書は、この松の木が見続けてきた小久保德次とJAとの歩みである。(本書「はじまり」より)