その一家にとって戦争は、終戦の日に終わったわけではなかった。
太平洋戦争の終結直後、南方ラバウルでB級戦犯として処刑された父と、残された家族が戦後日本で背負うことになった困難を記録した一冊。
農村に生き、家族を大切にしていた「ごく普通の父」は、陸軍大尉として懸命に勤めていたものの、ある事件の罪を咎められ、ついに処刑される。
現場にいなかったにもかかわらず、部下を救うために責任を引き受けたのだった――。
残された記録や証言をもとに、父が処刑されるに至った背景や、裁判の経緯などを丁寧にたどる。
一方で、戦犯の家族という視線、自宅全焼、農地解放、食糧難という重なる不幸の中で、戦後日本を生き抜いた家族の姿を長男の視点から振り返る。
戦争が終わったあと、人はどのように生き、何を背負い続けるのか。
一つの家族の記録を通して、今「戦争」の本当の意味を考える。
※この書籍は2022年に出版された『父はあえて戦犯となった――ラバウルで刑死した阿部一雄大尉と家族の肖像』のリニューアル版です。