熱帯夜脱衣ののちを浴室に佇(た)てり存在までぬぎすてて
ひとと別れきて真夜おもふ黒髪のウェーブすらもさえざえとして
ナイフもてすくへり朝の陽のなかにふと血のかをりする苺ジャム
1988年初夏以後に発表してきた作品から、390首を自選・編纂。
現代の都市や家庭、身体感覚を、時にユーモラスに、時にシリアスに描き出す。
ページをめくるたびに、自身を取り囲む世界の様相が少しずつ違って見えてくる。
なぜ短歌は、かくも人の心を揺さぶるのか。
その理由の一片が、ここにある。
※この書籍は2020年に出版された『歌集:デッド・フォーカス』のリニューアル版です。