• 発売日:2025/06/06
  • 出版社:並木書房
  • ISBN:9784890634613

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近現代日本の情報戦史

近現代日本の情報戦史

通常価格 2,420 円(税込)
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商品説明
SNSの普及により個人が自由に情報を発信できる一方、マスメディアの信頼は低下し、人々は何を信じればよいのか迷っている。
日本では歴史的に情報リテラシーが低く、長年〝インテリジェンス〟が弱点とされてきた。
本書は明治以降の情報制度と情報戦の歴史をたどり、欧州型兵制の模倣や日清・日露戦争勝利の成功体験が総力戦への備えを曖昧にしたと分析。
国際秩序が揺らぐ現代に対応するには、日本独自の情報体制を見直す必要があり、まずは情報機関に根づく官僚主義と秘密主義の改革が重要であると指摘する
目次
はじめに 1

農耕民族だから「情報に弱い」は正しいか/「情報」は日本人の造語/インフォメーションとインテリジェンス


序章 インテリジェンス前史 19

『日本書紀』に登場する日本初の情報機関/新羅から来たスパイ/情報収集のスペシャリスト「忍者」


第1章 日本陸軍のインテリジェンス機関 28

1、建軍前後の状況 29

海主陸従/軍の行政機関の名称の変遷/陸軍における参謀本部設立まで

2、陸海軍統合の「参謀本部」創設 37

理想的な組織に近づいた参謀本部/先駆的な陸海軍の統合機関の設立と破綻

3、作戦と情報部門の統合と独立 44

日清戦争の戦訓に基づく参謀本部の改編/日露戦争に備えた参謀本部の改編/情報業務における日露戦争の戦訓/参謀本部の改編により情報部再び独立

4、参謀本部創設の立役者 51

参謀本部創設の父・川上操六/軍政の桂太郎/モルトケの思想を日本に植え付けたメッケル少佐

【第1章のポイント】57


第2章 明治陸軍のインテリジェンスはどこが優れていたか 60

1、日清・日露戦争を勝利に導いたインテリジェンス 60

日本インテリジェンスの父「川上操六」/「天下の逸材」荒尾精/「シベリア単騎横断」福島安正/一人で「陸軍一〇個師団に相当」の明石元二郎/僧侶「清水松月」となり活動した花田仲之助/現地に溶け込み活動した石光真清/報国六烈士

2、明治期インテリジェンスの先見的な取り組み 80

情報伝達手段(海底ケーブル)の充実/日英同盟と日英軍事協商による情報の入手/ロシア側の日本軽視の風潮/ロシア側の情報収集の失敗

3、陸軍のインテリジェンスの問題点 84

日露戦争開戦時から解読されていた日本軍暗号/プロイセン参謀本部の問題点を継承した日本陸軍

4、主要国の趨勢から取り残された日本のインテリジェンス 89

第一次世界大戦への参戦とシベリア出兵の影響/大戦から学べなかったインテリジェンスの役割/陸海軍の英語教育への取り組み不十分/日清・日露戦争の成功体験が仇に

【第2章のポイント】94


第3章 陸軍に遅れた海軍インテリジェンス機関 99

1、海軍情報組織の設立は、なぜ陸軍より遅れたか? 99

英国式を採用した海軍/建軍から日清戦争までの海軍情報機関/日露戦争前後の海軍のインテリジェンス機関

2、日露戦争時の海軍情報活動体制 109

インテリジェンス・サイクル/情報収集から配布まで/欧州における在外公館の状況/武官による情報収集/海軍駐在員等の派遣による情報収集/極東以外のロシア海軍の情報収集/第3班の部屋の配置/情報の配布
3、バルチック艦隊の動向を探る 118

国民総動員で情報収集/必要な情報(情報収集項目)/情報収集地域・地点と収集源(手段)/バルチック艦隊の実際の動向/実際に収集された情報/情報収集成果(プロダクト)/情報活動の教訓

【第3章のポイント】137


第4章 陸海軍の秘密情報活動と防諜 140

1、通信情報収集能力の充実 141

陸軍の特殊情報/海軍の通信諜報

2、人的情報収集能力の向上 149

日本の在外大公使館付武官制度/在外大公使館付武官の管轄や派遣先/在外大公使館付武官の人選/在外大公使館付武官の軍における影響力/陸軍の特務機関/(海軍)軍令部特務部

3、カウンター・インテリジェンス 164

陸軍のカウンター・インテリジェンス(防諜)/海軍のカウンター・インテリジェンス

【第4章のポイント】168

第5章 インテリジェンスの成功と失敗 173

1、真珠湾攻撃(成功事例1)173

情報上の成功要因/米国側の情報上の失敗

2、フィリピンの戦い(成功事例2)177

情報上の成功要因

3、マレー沖海戦(成功事例3)180

マレー沖海戦の成功要因/英国側の情報上の失敗

4、潜水艦暗号漏洩事件(失敗事例1)182

オーストラリア軍による暗号書の回収

5、ミッドウェー海戦(失敗事例2)184

情報上の失敗要因

6、海軍甲事件(失敗事例3)186

情報上の失敗要因

7、海軍乙事件(失敗事例4)189
情報上の失敗要因

8、陸海軍インテリジェンスの問題点 192

組織上の問題点/情報の軽視/情報の保全/不十分な情報共有/米軍による日本軍の情報部の評価

9、軍以外のインテリジェンス機関 206

外務省のインテリジェンス機関/内閣情報部と情報局/日本の中央インテリジェンス機関

【第5章のポイント】213


第6章 戦後日本のインテリジェンス機関の再建 218

1、自衛隊のインテリジェンス機関 220

陸上幕僚監部第2部/防衛省情報本部/情報本部の編制/情報本部の任務と業務

2、外務省のインテリジェンス機関 226

国際情報統括官組織の設立/国際情報統括官組織の任務と業務

3、公安関連のインテリジェンス機関 229

公安警察(警察庁警備局)/公安警察(警察庁警備局)の編制と業務/サイバー警察局の編制・業務/公安
調査庁/公安調査庁の編制/公安調査庁の任務と業務

4、中央情報機構 236

内閣情報調査室/内閣情報調査室の編制/内閣情報調査室の任務と業務

5、インテリジェンス・コミュニティーの構築 242

ICの二つの型/主要な改革の流れ/官邸をスタートにするインテリジェンスサイクル/日本版NSCと
NSSの創設/国家安全保障会議(NSC)の構成員/国家安全保障局(NSS)の組織と業務

【第6章のポイント】253


第7章 日本のインテリジェンスの課題と対策 259

インテリジェンス機関の戦前と戦後の比較/秘密工作活動とカウンターインテリジェンス/戦前戦後を通じて不十分だった情報の共有と集約・統合/情報軽視による人材不足・情報教育不足/情報共有を阻害する「組織文化」/情報共有を阻む「行き過ぎた秘密主義」/情報共有を妨げる官僚制/情報共有のためには/戦前と比較して向上している機能/主要国にはあるのにわが国にはないか不十分な組織・機能/不十分な人的情報活動/公開情報(オシント)の収集機能の不足と情報共有意識の不在/インテリジェンス機関における不十分なサイバー戦能力/インテリジェンス機関監視機能の不在/インテリジェンス共通教育/情報組織の規模・予算から見て不十分

【第7章のポイント】284


おわりに 287
主な参考文献 293

コラム1 ペンタゴンの始まり 36
コラム2 陸海の考え方の違いに関する体験談 42
コラム3 石光真清旧居(石光真清記念館) 77
コラム4 陸上自衛隊における指示棒の使い方 198
コラム5 組織の縦割り「ストーブパイプ」248
コラム6 組織文化を変えるのは容易ではない 269
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