レッドチーミング入門

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レッドチーミング入門
  • 発売日:2026/01/05
  • 出版社:並木書房
  • ISBN:9784890634682

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レッドチーミング入門

レッドチーミング入門

通常価格 1,980 円(税込)
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商品説明
 ビジネスマン時代、「お前はクビだ!」の決め台詞で知られたトランプ氏は、大統領就任後もその姿勢を変えず、自らと対立する高官を次々と解任してきた。その矛先は米陸軍が設置した「レッドチーミング大学校」にも向き、予算削減によって閉鎖に追い込んでいる。この背景には、彼自身が批判的検証を行う「レッドチーミング」という意思決定メカニズムを嫌悪している事情がある。しかし、現場の米軍指導者たちは、権威者にとって耳の痛い異論こそが、戦闘での勝利に不可欠であることを熟知している。
 歴史はその教訓を如実に物語る。かつての日本海軍は、精強な戦力を持ちながらも、戦略策定段階でレッドチーミング的な視点を排除したため、独善的な計画を修正できず壊滅的な敗北を喫した。対する米海軍も、真珠湾攻撃前には異論を無視し痛手を負ったが、その後は教訓を活かし、組織的に異論を取り入れることで日本海軍を打ち破ったのである。実戦を重ねた米軍は、この手法を意思決定プロセスに深く組み込んでおり、政権の方針に関わらず現場レベルでは維持され続けている。
 現在、世界に目を向ければ、不安定化する国際情勢を受け、英軍やNATOはレッドチーミングを強化している。ビジネス界でも、ITやAIによる競争激化に伴い、企業の生死を分ける意思決定の精度を高めるため、軍事以上のスピードで導入が進んでいる。対照的に、日本の組織文化はいまだに権威への忖度や根回しが優先され、異質な視点を排斥しがちである。これが国際社会の変化に対応できず、政治・経済・軍事のあらゆる面で「ガラパゴス化」と停滞を招いている主因と言わざるを得ない。

 組織が失敗する最大の要因は、情報不足ではなく「思い込み」である。レッドチーミングとは、カトリック教会の「悪魔の代弁者」にも通じる、組織的に異論を採り入れる技法だ。競争相手(敵)の視点を再現し、自社の弱点や見落としを可視化することで、認知バイアスの罠を回避できる。
 この閉塞状況を打破するためには、日本のあらゆる組織と個人の意思決定に、このメカニズムを組み込む必要がある。忖度を捨て、「敵の目」で自らの前提を疑い、最善の意思決定を導く力を養うこと。賢い指導者として逆説を味方につけることこそが、不確実な時代を生き抜く道である。
目次
 はじめに 1

第1章 ウォーゲームの始まり 11

戦う前に欠かせないシミュレーション 11
ウォーゲームの源流「チャトランガ」12
ウォーゲームの普及 14
広義のウォーゲームと狭義のウォーゲーム 18
ウォーゲームの目的──「敵を知り、己を知る」19
「敵を知り、己を知る」を妨げる認知バイアス 22
認知バイアスを除去する意思決定法 23
「悪魔の代弁者」──レッドチーミングの基本原理 24

第2章 レッドチーミングの歴史的教訓 27

歴史に見る「敵を知り、己を知る」の実例 27
レッドチーミングの教科書『保元物語』28
日本海海戦──「敵を見くびる」というバイアス 33
真珠湾奇襲──通説や強い意見に拘泥するというバイアス 41
ミッドウェー海戦──権威というバイアスと意思決定者による不正行為 46
ミレニアム・チャレンジ2002──権威というバイアスと不正行為 53

第3章 各国軍採用のレッドチーミング 59

レッドチーミングの基本的原理 59
1、アメリカ国防総省 60
 『国防総省におけるレッドチーミングの役割と現状』63
2、アメリカ海軍 67
 『海軍戦闘部隊司令官のためのレッドチーム・ハンドブック』69
3、アメリカ陸軍 75
 『応用批判的思考ハンドブック(第7版)』77
 『レッドチーム・ハンドブック(第9版)』80
4、イギリス軍 82
 『レッドチーミング・ガイド──開発・概念・教義センター・ガイドライン』84
 『レッドチーミング・ガイドブック』90
 『レッドチーミング・ハンドブック』96
5、北大西洋条約機構(NATO)100
 『NATO代替案分析ハンドブック第2版』103
6、オーストラリア国防軍 106
 『オーストラリア国防軍によって見過ごされているレッドチーミングと代替案分析』108
7、カナダ軍 111
 『代替案分析とは何か?』112

第4章 台湾有事シミュレーション 115
        ──実践的レッドチーミング

◆ シミュレーション「台湾Xデイ」116
◆ 台湾有事審議会の編成 119
◆ レッドチームの編成 122
◆「ホームチーム」による伝統的戦略の提示 124
◆ ホームチームによる新戦略の説明 127
◆ レッドチームによる疑義と反論 134
◆「両チーム」次の課題 145

第5章 レッドチーミングの手順 147

レッドチームを編成する 147
「対立的視点」を提供する 149
「敵の考え方」を再現する 150
「敵の思考を形成する要素」を把握する 151
レッドチームの役割──対立的視点を持ち込む 155
レッドチーム・リーダーの資質 156
レッドチーム・メンバーを選ぶ 158
ホームチームの意思決定モデルに対応する 161
利害関係者からの情報に注意する 164
ホームチームのシナリオの欠陥を正す 166
レッドチーミングで用いる手法 168
1、利害関係者マッピング分析 171
2、代替将来分析 176
シナリオの評価と分類 180

第6章 日本こそレッドチーミングを導入せよ 184

レッドチーム導入のジレンマ──階級社会と認知バイアス 184
“忠臣”楠木正成の故事 186
湊川合戦に至る複雑な歴史の流れ 188
楠木正成による代替将来分析 192
楠木正成が想定したシナリオ 193
正成の献策入れられずワーストケースへ 196
社会規範として定着した経緯 198
行き着いた先が特攻 199
日本社会こそレッドチーミングの導入が不可欠 201

 付録1 認知バイアス 203
1、検索範囲を狭めてしまうバイアス 203
2、他者の影響で誤るバイアス 205
3、強い意見に影響されるバイアス 207
4、過去の経験を誤用するバイアス 210
5、リスク認知バイアス 212
6、最も明白な解決策を選択するバイアス 213
7、外部要因の考慮不足 215
8、特定のアイデアや行動に過度に関与するバイアス 216
9、過信バイアス 218

 付録2 OODA(ウーダ)ループ 220

コラム① 市販ゲーム「ガルフ・ストライク」で対イラク戦をシミュレート 16
コラム②『墨子』巻一三「公輸」21
コラム③ レッドチームという呼称について 26
コラム④ 総力戦研究所のシミュレーション 48
コラム⑤南北朝正閏論 198

 おわりに 225
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