西欧中世の闇を映す伝説の魔道書──その全容を明らかにするラテン語版からの原典訳、待望の新版! 2026年春に急逝した訳者渾身の労作、グリモワールという、隠された知の宝庫の深みへと静かに錘鉛を垂らし、好評を博してきた不朽の金字塔が、今後も長く読みつがれることを願い、ハンディなサイズで新たに刊行!
『ピカトリクス』とは──
13世紀のスペインでアラビア語から西欧語に移され、そのラテン語訳が、出自不明の魔術便覧として、もっぱら写本で読み継がれた秘書。20世紀初頭、翻訳の原典となったアラビア語文献が特定されたことをきっかけに、ワールブルク研究所の俊英たちによってテクストの整備が進められ、1960年代以降ようやくその全容が知られるようになった。その研究史は本書〈解題〉に詳しい。
魔術の実修者たちに重んじられ、魔道書の代名詞としてその名が語りつがれる一方、その具体的内容により、魔術・占星術・錬金術研究、さらには哲学・美術などの人文諸学からも注目を集めてやまない貴重な一次文献でもある。