南方熊楠(1867~1941)は博物学・民俗学・植物学における近代日本の先駆者的な研究者です。十数年にわたってアメリカ、イギリスを舞台に研究生活を送り、人文・自然科学にこだわらず森羅万象あらゆるものを記録するスタイルで研究を続けました。帰国後もイギリスの科学雑誌『ネイチャー』や『ノーツ・アンド・クエリーズ』に投稿を続け、また柳田国男らとともに神社合祀反対運動・自然保護活動に力を注いだほか、後に中村元や鶴見和子らに「南方マンダラ」と呼ばれた熊楠思想は独特な魅力にあふれ、熊楠を研究する人々は現在も増え続けています。
『熊楠研究』は熊楠に関係する未発表の論考を収める年1号発行の研究書で、熊楠研究の分野において最も権威のあるシリーズとして高く評価されています。
〈第18号 特長〉
★武内善信「一九一二年結成の日本民俗学会をめぐる民俗学者と民俗学雑誌」には、当時の民俗学研究を牽引していた高木敏雄・石橋臥波による学会設立の背景と、柳田国男や熊楠がどのようにアドバイスや関わりをもっていたか、様々な資料をもとに検証しています。
★野村さなえ「一九一〇年における南方熊楠の神社合祀反対運動とその到達」は、本格的に神社合祀反対論を発表し始めた熊楠の『牟婁新報』での連載内容を精査し、熊楠の主張を明らかにしています。
★野村さなえ「奥五十鈴「神社合祀談」の筆者と書き込み」は、神社合祀に賛成していた神職の奥五十鈴による新聞記事を、熊楠が原稿用紙に写し、そして自身の見解を書き込んでいるので、これをくわしく解説し、翻刻文とともに掲載しています。
その他