南方熊楠(1867~1941)は博物学・民俗学・植物学における近代日本の先駆者的な研究者です。十数年にわたってアメリカ、イギリスを舞台に研究生活を送り、人文・自然科学にこだわらず森羅万象あらゆるものを記録するスタイルで研究を続けました。帰国後もイギリスの科学雑誌『ネイチャー』や『ノーツ・アンド・クエリーズ』に投稿を続け、また柳田国男らとともに神社合祀反対運動・自然保護活動に力を注いだほか、後に中村元や鶴見和子らに「南方マンダラ」と呼ばれた熊楠思想は独特な魅力にあふれ、熊楠を研究する人々は現在も増え続けています。
『熊楠研究』は熊楠に関係する未発表の論考を収める年1号発行の研究書で、熊楠研究の分野において最も権威のあるシリーズとして高く評価されています。
〈2026年最新号 第20号 特長〉
★特集「佐藤清明と南方熊楠」
岡山県出身の民俗学者・方言学研究者・植物研究者である佐藤清明と、熊楠・柳田国男・新村出らとの交流を現存資料から検討した最新の研究発表です。
木下浩「佐藤清明と南方熊楠・柳田国男との交流」
上川隆「新出資料にみられる南方熊楠と佐藤清明の交流」
金文京「新村出、佐藤清明往復書簡の紹介」 ほか
★三村宜敬「異名に使われる「南方熊楠」」
博物学・神道・民俗学などの世界に「○○の南方熊楠」と呼ばれた人たちがいます。そのなかの十一人をとりあげ、熊楠のもつイメージのどの部分を切り取ったものかを検証しています。
★武内善信「一九三六(昭和十一)年四月六日早朝付古田幸吉宛南方熊楠書簡」(資料紹介)
熊楠が吉田幸吉宛に書いた書簡の翻刻作業が現在すすんでいます。そこには、これまでに知られてこなかった重要な回想が綴られていることがわかりました。南方家と熊楠の伝記に関して、新たに判明したこと、またいくつかの疑問が解明されたことなど、熊楠の親族に関する新発見の史料について、くわしく解説します。そして、その翻刻文を掲載しています。
その他