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鄙の色

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前句集『にれかめる』で牛飼詩人としてその名を全国に知らしめた著者の、現在までの集大成となる第4句集。2019年から2023年までの5年間を、白・黒・緑・銀・青の彩りに謳いあげました。

【自選12句】
春来る尾の有るものに無いものに
白樺の樹皮のしらりと春雪光
母牛の喰らふ春闇色の胞衣
蝦夷梅雨の牛の涎のやうな空
沖とほき息夏草を胸に漕ぎ
黒牛に黒い反芻熱波来る
いとど出てくる住み古りし貌をして
露に牛追ふ棒切れも露に濡れ
鹿の屍を穿る鴉の芯まで黒
吹かれをる枯蜘蛛足八本無欠
青空を重石と思ふ寒さかな
雪の夜の牛の眼の底知れず
目次
白樺の樹皮 二〇一九年
黒い反芻  二〇二〇年
緑の呼吸  二〇二一年
銀の凍   二〇二二年
青の深度  二〇二三年
 あとがき
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