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きみちゃんの湖

きみちゃんの湖

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商品説明
障がいと向きあう子供たちへの真摯な眼差し。彼らのこころと身体の姿に言葉が寄り添うとき命の場所がきらめく。長らく特別支援教育に携わってきた著者が綴る28篇の詩。

世界を抱きしめようとする
産声にも似て
きみのうっすらと色づいた唇が
ことばの葉脈に
口づけをする
静かによせてくる
きみからのひとすじの径が
ほのかに光りだす
(「うっすらと色づいた唇が」より)

このささやかな詩集を、かつて教員として私が幸いにも寄りそうことができた子どもたちに捧げる。
時を経て私の思い出のなかで、子どもたちの姿は多少なりとも変わってしまっているだろう。だが、私が描いた彼ら一人ひとりの想いは、出会いのときから今日まで私のなかで変わることなく生き続けている。
(「あとがき」より)
目次
序詩

二十年後の手紙
こうちゃんの宝箱
水の上の煌めき
せせらぎ
瞳に宿る影法師
うっすらと色づいた唇が
竜が空を翔ける
くるっと回すスプーンから
あっくん!
ゆっくり落ちてくる静けさの

軋むシャフトを突きたてて
ニンニクのにおい 玉葱のなみだ
きみちゃんの湖
光の粒のような
ひろとくんの手帳
さち子の手のなかの ちっぽけな赤い耳栓
踊る!
時間(とき)のはざまを震わせて

先生 わたしね
始業チャイム
挑む指
電動車いすをスーツ代わりに
足のうらから突きあげてくるもの
ムーンリバーをわたる
思いの跡
卒業式
蹴とばしたい
あとがき
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