人と時代に寄り添いながら明日をさまよう悲しみの行方について語ろう
詩の可能性に、私たちはいま何を問うのだろうか
映画『ルート29』の原作として話題となった『ルート29、解放』、第40回詩歌文学館賞を受賞した『フロム・ティンバーランド』を超えて新たな詩の地平をひらく最新詩集。
表紙絵=榊原澄人/造本・装幀=稲川方人
わたしは長いあいだきみを探しています
部屋に迷い込んだ日差しが息をひそめてあたりを見回しています
わたしの時間も光を受けたまま、静物のように止まっています
その光源を予感するわたしの魂は若いままですが、それによってわたしは苦しみました
いつか「君韻」という言葉の意味が載った詩集を見つけたとき
わたしはうれしかった
そこには琥珀の写真も添えてありました
琥珀のなかには「繋ごうとした手」の「動き」が入っていました
まだ生きていたんだね、とわたしの頬を涙が伝いました
そこで恋という文字を拾ったときもうれしかった
それはわたしの寂しい庭、何もない庭を彩るたったひとつの言葉でした
(「君韻幻灯機」より)