「徳川家康」研究は、かつてビジネスマンの座右の書として注目され、管理職の必須の読み物のように扱われてきたが、本書のテーマは、まったく従来と異なる。徳川家康の生き方は、大きな視点でみれば「未来の日本国をいかに幸せにするか」を追求していく姿が見えてくる。時は戦国時代、誰もが野望を持ち、天下取りに挑んだが、家康は信長、秀吉とは違っていた。もちろん最後には天下統一を成し遂げたが、人物像は掴みどころのない人物というイメージである。しかし、歴史を振り返って家康の成し遂げたのは何かと見ていくと、実践的に「都」を江戸(東京)に移し、土地を拡げ、川の流れを変え、万人の住みやすい都市づくりを行い、制度を変え、徳川三百年の平和な日本を築き上げたことにある。幾多の家康論とは異なり、本書は「平和」を目指して生きた新しい家康像に迫った渾身の一書である。