大腸がんの手術は成功した。
だけど、ほんとうの闘病は、その後に始まった。
39歳で大腸がんと診断された、看護師の妻・戸村妃美。
がんの告知による大きな心理的ショックから心の調子を崩し、予定されていたがん手術を目前に、精神科病棟へのお引越しとなりました。
その後、消化器外科と精神科の両方にわたる多くの医療関係者に支えられ、大腸がん手術は無事に成功。
しかし、退院すれば、すぐに以前と同じ生活へ戻れるわけではありませんでした。
心の調子には波がありました。
昨日できたことが今日はできない。
元気に外出できた翌日に、不安や疲労から動けなくなる。
「早く元気にならなければ」と思う気持ちそのものが、心の負担になることもありました。
夫である著者・戸村智憲が、妻の退院後の自宅療養「おうち入院」の「院長」として、がん患者の家族としてサポートしながら、妻の心の回復に寄り添っていきます。
医師に医療上のご判断を仰ぎながら、家庭では、
話を聞く。
安心して休める環境をつくる。
家事や育児の負担を調整する。
服薬や受診を支える。
できない日があっても責めない。
本人の心のペースを大切にする。
そんな日常の積み重ねを続けました。
その過程で、妻の様子や家族の日々をスマホに書きとめてきた記録が、数百ページに及ぶ「おうち入院カルテ」となりました。
本書は、その記録をもとに、がん告知、精神科病棟への入院、がん手術、自宅療養、家族の日常、社会とのつながりの回復、故郷への帰省など、夫婦と家族が歩んできた約3年間を夫の視点からまとめた実録手記です。
療養生活の中では、
「アップしても油断せず、ダウンしても悲観せず」
「堂々とラクをする」
「心の余力を貯める」
「予定に心を合わせるのではなく、心の調子に予定を合わせる」
といった、「おうち入院カルテ」に何気なく書きとめ続けた言葉も生まれました。
さらに、家庭で大切にしてきたことを、「ことばぐすり」「信頼ぐすり」「あるがまま居場所ぐすり」などの「8つの薬」と「3つのアプローチ」として紹介しています。
これは、医学的な治療法を解説する本ではありません。
一人の夫、一児の父として、
がん患者の心を支えるとはどういうことなのか。
支える家族は何ができるのか。
そして、支える側自身の心をどう守っていけばよいのか。
試行錯誤してきた日々を、あるがままに綴った一冊です。
がんと向き合っている方へ。
心の不調と向き合っている方へ。
そして、その隣で大切な人を支えているがん患者のご家族の方へ。
自分のペースで、大丈夫。
どんな時も、一緒に生きていこう。
そんな思いを込めてお届けします。
※本書は著者家族の視点でのがん闘病記・メンタルケアと闘病記をもとにしています。医学的な診断・治療・医療上の助言などを目的とするものではありません。