「減反政策」「高齢化」「増える耕作放棄地」など、衰退一途のコメ農業。さらに大手メディアは報道しない「農業の企業支配化」が進行中だ。
安全性に問題のある稲の遺伝子操作、遺伝子に影響を与えるRNA農薬の開発、エネルギーを大量消費する過剰な工業化など。日本のコメ農業はゆるやかに企業しか儲からない持続不能な方向に向かっている。
本書を読めば、近い将来安全な国産米は消えてしまうことが実感できるだろう。
しかし、現在の日本においては「経済性に問題のある農業は衰退してもしょうがない」「経済性を考えればコメを輸入に頼るのもしょうがない」と考える人も多いのではないだろうか?
それに対する答えとして、本書ではスイスの農業を紹介している。
山岳国であるスイスは、日本以上に農業には向かない国土でありながら食料自給率50%以上を維持している。時には60%に迫る時もある。それでいて、世界有数の経済大国である。
スイスの農業はいたずらに効率を求めず、安全でおいしい有機農業を推進している。また、農業政策と環境政策をまとめて考えることにより、「食料安全保障」「環境問題」「過疎問題」を同時に解決しているのだ。
スイスの美しい景観は、農家が都市から離れた地域で安心して農業を営める政策によって維持されている。環境にやさしい農業を推進することは、そのまま環境問題の解決につながる。
日本のコメ問題と地方の過疎はつながっていて、それは水問題や山里の荒廃によるくま問題にもつながっている。
本書は、私たち国民が知らないうちに進んでいる日本農業の危機的状況とその解決策を紹介している。
実は日本にはスイスに負けない自立的取り組みをしている地域もある。みごとな自立型社会を作っている自治体の例も紹介している。