■「核武装できない」の正体を、9つのハードルで解体する
前巻『日本の核武装Ⅰ 知られざる実力』で、著者は一つの結論を提示した——「日本の核武装は、やろうと思えばできる状態にある。しかしやるかどうかは、別の次元の問題だ」。
本書はその「別の次元」を正面から論じる。なぜ日本は核武装できないのか。その答えは、9つのハードルの中にある。
■ 9つのハードルとは何か
第一層〈見えないハードル〉——非核三原則と敵国条項。どちらも法律でも条約でもない。にもかかわらず、最も強力に日本を縛っている。
第二層〈最大の実質的障壁〉——日米原子力協定。日本の核燃料・技術・施設のすべてに、アメリカの「同意権」が及ぶ。本書の第一のクライマックスとなる章である。
第三層〈国際的な包囲網〉——NPT、IAEA保障措置、追加議定書、CTBT。単体では越えられないわけではないのに、四つが重なることで逃げ道が消える。
第四層〈国内法の縛り〉——原子力基本法の「平和の目的に限り」という6文字、炉規法・外為法が物理的に核の転用を塞ぐ構造。
そして第10章では、ウクライナとイラン、二つの国の末路を見る。
■「核の傘」という虚構を直視する
特別重要章として「日米安全保障条約」を据えた。条約は本当に日本を「守る」と書いているのか。日本語テキストは「正文」だったのか。ジョン・J・ミアシャイマー博士の一言が、9つのハードルの本質を貫く——「日本が核を持てるかは、実はとても簡単なことだ。アメリカが了承すれば良いだけだ」。
ウクライナ戦争を経て揺らぐ「核の傘」、フォーリン・アフェアーズが論じ始めた日本核武装論、高市政権下で焦点化した「持ち込ませず」見直し議論——。地盤が動き始めた今、日本の安全保障を語るために必読の一冊。