MEMは2025年7月に逝去した前衛芸術家ロバート・ウィルソン氏を追悼する展覧会を開催いたします。本展は氏が音楽家のフィリップ・グラスと共に制作した代表的オペラ『浜辺のアインシュタイン』初演50周年を記念し、1975年に制作されたドローイング11点を世界初公開するものです。ウィルソンは同年、舞台の基盤となる一連の絵を描き上げました。これらはリズム・光・空間をめぐる思索を結晶化し、伝説的舞台の出発点を明らかにします。『浜辺のアインシュタイン』は翌1976年にアヴィニョン演劇祭で初演、メトロポリタン歌劇場でも上演され、物語性を排した革新的構造で現代演劇とオペラを刷新し、多くの芸術家に影響を与えました。 今回出品されるドローイングは、抽象概念を視覚形式に翻訳するとともに大劇場での空間展開に導く創作過程を示すものです。また併せて紹介するのが、ルシンダ・チャイルズを主題に2005年に制作されたビデオポートレイトです。チャイルズは『浜辺のアインシュタイン』で振付を担当し、ダンサーとしても舞台に立ちました。彼女の朗読と映像が重なり舞台の記憶を呼び覚まします。 本展は2025年10月の東京芸術劇場での『Mary Said What She Said』公演とも呼応し、ウィルソンの創造の軌跡を刻みます。舞台と美術を横断した氏の活動を日本で紹介する貴重な機会です。本書は展覧会に合わせたカタログで、展示作品の図版(ドローイング11点、映像スチル1点)のほかに、展示会場写真、資料図版として『浜辺のアインシュタイン』の舞台写真や、ストーリーボード、そして本書に寄せていただいた文章2編を収録。
Introduction Plates Drawings of Origin: Noah Khoshbin On Robert Wilson, A Kindred Spirit: Tadashi Suzuki Production Stills from Einstein on the Beach Robert Wilson's Storyboard for Einstein on the Beach About Robert Wilson List of Works Afterword and Acknowledgement: Katsuya Ishida