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祈りの森

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商品説明
黒と白で綴る母と子の物語。
母の祈りは日本列島を黒と白に染める。

1993年より2015年まで23年、大型カメラ・黒白フィルム写真による「母子像」を題材に、
各界各地の好協力者を得て、日本縦断大ロケーションを敢行!
写真家 吉川 藤園は、撮影期間23年の全情熱をこの作品に懸けた。

美しき日本の山河よ、谺するこの森の住人の心の叫びを聞け。
あなたに、かつて少年であったすべてのあなたと、かつて少女であったすべてのあなたに、
祈りを込めてこの写真集を贈る。

掲載された全写真作品は、4X5シートネガフィルム(Kodak T-MAX400)から手焼きプリントした、
バライタ印画紙写真(Ilford Multigrade IV Fiber Based)であり、
おそらくこれは、印画紙入稿から印刷・製本された写真集としては、
国内最後期のものとなるであろう。

【解説】
大判カメラという異物を前にして、母はまなざしが落ち着く先を探し出す。
写真家はただその様子を拾い上げる。
吉川は表情を撮っているのではない。まなざしを撮っているのだ。
慈しみは深くとも、まなざし自体は淡々としたものである。
子を見つめる鬼子母神は笑わない。
シンプルなまなざしだからこそ、誰もが心の奥にもつ、
かつて世界を自分に示してくれた母のまなざしの記憶を重ね合わせることができる。
-「鬼子母神は笑わない。」より
-藤崎 圭一郎(東京藝術大学教授)

吉川作品の母子のイメージから歴史的文化的宗教的背景を排除しても残る聖性がもしあるとすれば、
子を想う母の過剰なまでの愛への無意識の懼れが、そして逆に母を想う子の無意識の一体化の欲求が、
普遍的な聖性を刻印しているのだろう。
そのかぎりにおいて聖なるものは美的なものに近接する。
-「祈りと崇高」より
-吉村 健一(神戸大学非常勤講師)

作者は大型カメラと照明には大型のストロボをセットして撮影しているという。
その画面は極力影を消し、どれもフラットな写真に仕上げている。
彼にとってドラマチックな光は不要なのだ。
そのことについて作者に聞いたことはないが重要なことだと思う。
なぜなら、作者にとってすべての母と子の関係を全員同一のスタートラインに置く必要があった。
そしてそこから見えてくることこそが先の期待や不安を孕んだ予感である。
そのことこそを見せたかったのかもしれない。
-「祈りの森について」より
-桜井 ただひさ(photographer)

※本書は2015年現代企画室刊「祈りの森 People in the Forest 赤ちゃんは母性の象徴である。」の復刊となります。
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