終活というと、持ち物や財産の整理を思い浮かべます。けれども、この本が語る終活は、残りの時間をどう生きるかを決めることです。死後の世界を語る本ではありません。
人は、家を一軒手に入れるために何年も計画を立てます。それなのに、人生の締めくくりの話になると、つい顔を背けてしまいます。著者はこう書いています。「最期の瞬間までどう生きるのか、何を整理し、何を遺すのか、どんな心で旅立つのかを、生きているうちに考えてみようということです」。本書は、その「考えてみる」ための一冊です。
第1部では、死の見方を変えます。私たちが恐れているのは死そのものではないこと、死は生を終わらせるのではなく完成させるものであることを、著者自身の体験から語ります。韓国に古くからある「チョンファ」、どこかへ去るのではなく来た場所へ還っていく、という見方を紹介します。
第2部は、最後まで自分らしく生きるための実践です。体を動かすこと、心のつかえを取ること、意識を広げること。年を重ねるほどに深みを増す人は何が違うのかを、体・エネルギー・意識の3つの次元から説きます。
第3部は、自分らしく旅立つための準備です。治療をどこまで受けるか、最後の時間を誰と過ごすか、何を整理し何を遺すかを、生きているうちに自分で決めておく。生涯を振り返り、感謝を伝える「生涯完成式」の開き方、最期が近づいたときの備え、旅立ちのかたちが遺された人に残すものまでを、順を追って示します。
「生には、積みあげる時間と同じだけ、整理し、手放していく時間が必要です」。あとどれだけ手に入れるかではなく、ここまで生きてきた時間をいかに意味あるものとして完成させるか。著者はそれを、人生の後半に最も必要な学びだと言います。
「最期は、ある日突然に完成するものではありません。今日という1日が積み重なって、最期をかたちづくります」。終活とは、遠い先の準備ではなく、今日の生き方のことなのです。
巻末に「そばに寄り添う人への手引き 愛する人の最期に寄り添うために」を収録。親や大切な人の最期に、どう寄り添えばよいか迷っている人にも役立つ内容です。
人生の後半に入り、これからの時間を何に使うか考えている人、時間は無限ではないと気づきはじめた人へ。脳教育の創始者として「どう生きるか」を問い続けてきた著者が、その問いの最後の一章として書いた一冊です。英語版、韓国語版は2026年10月に刊行。