【漫画『ゴールデンカムイ』の監修にも参加した北原モコットゥナシが、アイヌの文化、歴史、今日まで続くアイヌへの差別や偏見の構造について徹底解説!】※「シ」はアイヌ語小文字
日本の先住民族アイヌをはじめ、マイノリティをとりまく差別や無知・無理解などについて考察した『アイヌもやもや』。その第2弾、『アイヌそもそも』では、アイヌの歴史と文化について、詳しく解説しています。
日本では、長い間、先住民族の世界が消えてしまっています。マジョリティが正しい知識を得てそれに気づくこと、また、日常や常識を問い直すことによって、マイノリティとマジョリティそれぞれが意識の脱植民地化をはかり、由来を取り戻すことを『アイヌそもそも』はテーマとしています。
【田房永子が、自分のルーツを探ろうともがく大学生・陽奈の物語を漫画で描く!】
小学生のときに自分がアイヌだと知った主人公の陽奈。アイヌのことについて、あまり話そうとしない父や祖母の姿に「何か」を感じながらも、自分のルーツへの興味はふくらみ、北海道の大学で学ぶことを決意します。北海道でのくらしの中で、差別や無知・無理解に傷つきながらも、自分の由来を取り戻し、成長していく陽奈。その姿を、田房永子が丹念に描いています。
〈刊行に寄せて〉
【北原モコットゥナシ先生】※「シ」はアイヌ語小文字
アイヌ民族の神話や文様などを学ぶことは楽しく、私の研究もここから始まりました。
一方で、近年はアイヌ民族に関する過去の研究の検証や謝罪が相次いでいます。2026年7月27日、私が勤務する北海道大学も、(帝国大学だった当時の)医学部8講座が行った研究を検証し報告書を公開しました。報告書は、これらの研究が、アイヌの原始性や先天的に劣っていることを前提にしていたと指摘し、その「研究姿勢、手法、結論を真摯に反省し謝罪する」と記しました。
アイヌの「原始性」は和民族が捏造したものでしたが、そうした歴史は語られず、アイヌは原始的で劣っているという印象だけが広まっています。本書ではアイヌと日本の文化を学ぶ楽しさからはじまって、両民族の「そもそも」を掘り下げます。楽しい研究と、創られた無知や偏見の解消をつなぐことを目指しました。
【田房永子先生】
北原モコットゥナシ先生(※「シ」はアイヌ語小文字)の原稿を読み、アイヌ差別に苦しむ大学生の漫画ラフを描いて送ります。先生から補足・解説をいただき、自分がアイヌをステレオタイプで見ていたこと、知ろうとしなければ無知なまま生きていられる立場だと改めて深く気づきます。「そうなんだ」と受け取る側でいられるのです。
子ども2人の夏休み、母親の大変さを夫に必死で訴えたあの夏が蘇りました。夫は「女、妻、母に課せられる負担」について「そうなんだ」でいられる。「やらないと妻がうるさいから」でいられる。この「いられる」が、私たちの間に距離をつくります。
その距離を意識しながら、18歳のアイヌの1年間を漫画にしました。