民族藝術学会誌 arts/ vol.42

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商品説明
 民族藝術学会は、1984年4月に発足しました。そこでいう民族芸術学は、既成の学問の枠組みを超え、人類の普遍的な営みとしての芸術現象を考究する学として構想されました。
 人類の生みだすアートをめぐっては、これまで、主として西洋とその影響下で成立した事象を芸術学や美術史学が研究の対象とし、それ以外の地域の事象、つまり、非西洋の事象を人類学・民族学が研究対象としてきたといった傾向がみられました。このため、この両者の研究は、久しく別々の道を歩いてきた観があります。ところが、今、この二つの分野は急速に接近しつつあります。
 人類学・民族学にとっても芸術学にとっても、問題系を共有するなかで、分野の別を超えた新たな知の領域が開けてきているといってよいでしょう。まさに民族芸術学が必要とされる沃野が広がってきたということができるだろうと思います。
 一方で、この「民族芸術」という言葉自体が使われることは、研究者の間ではほぼなくなってきているというのが実情です。民族藝術学会が学会誌『民族藝術』の英語名称として用いてきた“ethno-arts”という用語も、現在では、世界の先住民族の芸術をさす語として一部で用いられるにすぎません。そのようななかで、「民族芸術」という語を用いた途端、「芸術」とは別に「民族芸術」というカテゴリーがあるかのようにうけとられ、逆に既成の枠組みを超えて芸術を縦横に語ることが難しくなるという状況が、今、生まれてきているといえます。
 新たな学会誌の名称は、こうした状況を打開するために考案されたものです。また、この名称の変更にあわせて、ここで述べたような「学」としての視座を明瞭に示すために、これまで曖昧なままにおかれてきた学会の英語名称を、“Society for Arts and Anthropology” とすることにいたしました。
 民族藝術学会とその学会誌を、既成の学問分野や活動の領域を超え、人類の普遍的な営みとしての芸術現象を立場を異にする研究者やアーティストが共に考究する開かれた場として再創造しよう、というのが、この改革の目的です。
目次
// 特集:人間(ヒト)と人形(ヒトガタ)、そのあわい //

佐々木重洋|序

【シンポジウム 】
[論文]
山中海瑠|劇人形の生命概念を問い直す──genre:Grayにおける遣いの実践から
山口遥子|現代人形劇における演劇的革新と人形の〈生命〉
中尾 薫|日本の人形・形代・操りの思想
山口庸子|「劇人形の刻(とき)」──ドイツ語圏モダニズムの「動く人形(ひとがた)」
黒谷 都|(コメント)人形遣いの現場から
𠮷田憲司 |(コメント)人間(ヒト)と人形(ヒトガタ)のあわい──人形(にんぎょう)と仮面を視野に収めて

[論文]
矢田達也|競合と協力が織りなす祭礼継承のダイナミズム──COVID-19パンデミック下における「大垣祭の軕行事」の担い手の諸実践に着目して
吉村宥希|二分化する仮面衣装:スペイン・メセレイェスのディスフラスとサラマコ

[報告]
山下暁子|音楽分野と美術分野を横断する企画における多角的な鑑賞と表現の可能性──ヨックモックミュージアム「ピカソのセラミック―モダンに触れる」展の展示内容を元に企画したピアノ演奏会の実践を通して
古沢ゆりあ|近代日本のキリスト教美術の西洋での受容

[評論]
岩澤孝子|音は流れる
桑島秀樹|融けあう「廣島/ヒロシマ」風景のモノ語り──広島市現美・被爆80周年記念展と比治山の歴史レイヤー
江上賢一郎|美術と政治の共振を召喚する
服部浩之|十二の円環構造による包括的展覧会
服部 正|アール・ブリュットの現在地
木村優希|時代が拓かれるとき──E.サティとC.ドビュッシーの対比から
鈴木慈子|戦争と芸術
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