ウクライナ史はコサック抜きでは語れない。ウクライナではコサックは歴史の主役であり、選ばれた統領へトマンをトップにした共和国の建設者であった。
国家を嫌いそこから逃げ出してきた彼らだったが、増え続けるコサック内部には当然ながら階層分化が生じ、全体を統制することが必要になってくる。国家から逃亡したコサックが擬似国家を形成するアイロニーが生じる。本書は、ポーランド、ロシア、トルコに囲まれた三角地帯に登場したユニークな集団、ザポロージエに現れた自由な人々の群れ、ウクライナ・コサックの歴史を、へトマン国家を経て二十世紀初頭のマフノ運動までを、「コサックの盛衰の波」という観点から描こうとした一つの試みである。