物語論の倫理的転回と倫理学の物語的転回という文学研究の文脈の中で、批評手法の融合がすでに学界のホットな研究テーマとなっている。本書は、文学倫理学批評理論に基づき、それを物語論の理論と融合させて山崎豊子文学を研究するものである。この視座は、文学研究における二元論的ジレンマを打破し、山崎作品に込められた態度や姿勢を内容と形式の両面から探求するだけでなく、異なる国や民族間の交流や理解を促進することも可能とする。同時に、本書の研究は、中国における文学倫理学批評理論の現地化構築を促進することにも役立つ。本書は、山崎豊子小説の四つの核心的な倫理的主題、すなわち家庭倫理、女性倫理、戦争倫理、職業倫理を切り口とし、文学倫理学批評理論と物語論の二重的アプローチを採用する。内容的分析においては、文学倫理学批評理論を援用し、山崎豊子小説における倫理テーマを探求する。形式的分析においては、物語論を駆使し、山崎豊子小説における物語技法と倫理的主題の関連性を考察する。そうすることで、山崎文学の独特な倫理的内実と社会教育的意義を深く掘り下げる。また、本書では、山崎豊子文学の倫理的主題と叙述スタイルを、大阪文化への没入、戦争に翻弄された青春、文学の道への導き手、ジャーナリストの経験という四つの角度から解明する。本書は、山崎豊子の各創作段階の作品を新たな視点から考察し、その文学的価値と社会的意義を深く掘り下げることにより、山崎文学の研究成果を拡大し、中日両国の交流と理解を促進する架け橋となることを目的としている。
本書の出版は、中国教育部人文社会科学研究青年基金プロジェクト「文学倫理学叙事転向視域下山崎豊子文学研究」(プロジェクト番号:22YJC752014)の助成を受けた。