大正から昭和時代にかけて活躍した自然主義作家・加能作次郎の魅力を再発見する作品集です。『恭三の父 父の匂ひ 加能作次郎秀作集』『富来祭 羽織と時計 加能作次郎小品集』(既刊)に続く、3冊目となります。この3冊で、加能作次郎の主要な小説作品が網羅されることにより、加能ワールドの真髄に触れていただけるでしょう。
今回収められたのは、いずれも20代から30代前半の作品となります。デビューから3作目の「厄年」は加能の長編の第一作と言える作品で、この作品で文壇で認められるようになる「第一の出世作」です。
「迷児」「世の中へ」は京都を舞台にしています。6歳で初めて京都の祖母の家に行ったときに見知らぬ人に連れられて「迷児(まいご)」になった経験をつづった作品は、デビュー9年目にしてスランプから抜け出すきっかけとなりました。その4か月後に読売新聞で連載が始まった「世の中へ」には多くの反響があり、翌年には創作集として刊行され、まさに「第二の出世作」として広く読まれました。