人生100年時代を迎え、「健康寿命」の重要性が高まっています。しかし、加齢にともなう体の衰えの中でも、見過ごされがちなのが「聞こえ」の問題です。本書は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門医であり、加齢性難聴や認知症領域の研究に深く携わってきた著者による、耳と脳の健康を守るための実践ガイドです。
多くの人は「耳が遠くなるのは加齢のせい」とあきらめがちですが、加齢性難聴は単なる耳の機能低下にとどまりません。耳で拾った音を意味として理解するのは「脳」であり、聞こえづらさを放置すると、脳への過度な負荷や会話の減少、社会的孤立を引き起こし、認知機能低下の悪循環(負の連鎖)へとつながってしまいます。世界的な研究でも、難聴は認知症の予防可能な最大のリスク要因の一つとして挙げられています。
本書では、「聞く・聞こえる」メカニズムや難聴と認知症の複雑な関係を科学的根拠に基づきていねいに解説。その上で、「音量×時間の意識」「音休み」「正しい耳ケア」など、日常で無理なく実践できる具体的なノウハウを提示します。さらに、補聴器の活用や「脳の余力(認知予備能)」を鍛えることの重要性も伝えています。
「治せる難聴」と「防げる認知症」を見過ごさず、シニア期を自分らしく豊かに過ごすために、30代・40代の若いうちから知っておきたい一生ものの知識が詰まった一冊です。