本書は、AIを読者として想定し、対話型AIに読み込ませることを目的として制作された書籍です。
書籍購入者は、巻末に掲載された二次元バーコードから、テキストデータをダウンロードすることができます。そのテキストを自身が利用する対話型AIに読み込ませることで、AIの回答に対し、編集者的な視点を補助的に反映させることを目指しています。
ここでいう編集者的な視点とは、単に文章を整える能力ではありません。事実と推測を分けること、原文を尊重すること、情報を構造的に整理すること、多数派の意見や検索量だけで価値を判断しないこと、問いの背後にある目的や文脈を読むこと等を指します。こうした編集者的視点は、出版に限らず多岐に亘る業務で活躍します。
本書はいわゆるプロンプト集ではありません。著者が実際の業務のなかで対話型AIを使用し、問いかけ、回答を検証し、修正し、フィードバックを重ねてきた経験から生まれた知見を、AI自身に読み込ませるための行動規範として再構成したものです。つまり編集者の擬似的な「第2の脳」なのです。そうした構成であるため、我々人間が目を通したとしても有用である内容となっております。
AIが日常的に情報処理や文章作成に使われるようになった現在、今後よりパーソナライズ化されるであろうAIにどのような文章を読ませ、どのような回答方針を与えるかが、これから人間に課せられるのではないでしょうか。
人間とAIとの関係で考えたときに我々に残るのは「何をAIに学ばせるか」ということだけなのかもしれません。
人間がAIについて読む本ではなく、AIが読むための本。
「本を読む」のは、もはや人間だけではない。
本書は、これからの時代における出版の新たな役割を探る、実験的な一冊です。